桐朋学園音楽部門同窓会創立70周年記念事業 グランド・コンサート ~TOHO NEXT LEGEND~

日本を代表する音楽大学出身者が集う絢爛豪華な一夜

 日本の音楽界において重要な存在であり続ける桐朋学園。音楽部門は1952年、当時の桐朋女子高等学校に音楽科を併設したときから歩みを始め、今年創立70年を迎えた。卒業生たちの活躍ぶりはまさに枚挙に暇がなく、戦後音楽界の中心となって引っ張り続けてきたといっても過言ではないだろう。その卒業生たちのネットワークとなっている「桐朋学園音楽部門同窓会」も創立70周年を迎えた。本同窓会はソロやアンサンブルからオーケストラまで、卒業生たちによるコンサートを開催し、活動の場を作ってきた。さらに、50周年記念ピアノ・ガラ、60周年記念指揮者の祭典など、節目には大規模なコンサートも実現。

 今年の70周年記念事業は「グランド・コンサート 〜TOHO NEXT LEGEND〜」で、「今を輝く若手演奏家達によるコンサート」となる。その趣旨の通り現在活躍中の若手・中堅奏者が中心となるが、魅力的な出演者がずらりと並んでおり、桐朋の層の厚さが改めて窺える。3部構成のステージ、以下できるだけご紹介したい。

 第1部は、カルテット・アマービレ&ウェールズ弦楽四重奏団、いずれもARDミュンヘン国際音楽コンクール第3位の快挙を成し遂げた2団体による、メンデルスゾーン「弦楽八重奏曲」抜粋で華々しく開幕。そして、それぞれの世代のコンクールで優勝・入賞している大谷奏介(ピアノ)、南波美月姫(ハープ)、渡邉伶音(チェロ)、中野りな(ヴァイオリン)が続々登場。なかでも仙台国際音楽コンクール最年少優勝の中野のイザイ、中学生の渡邉と大ベテラン清水和音のピアノによるカサドは注目。この部の締めは、2019年日本音楽コンクール第1位、いまや大人気ピアニストの亀井聖矢。超難曲バラキレフ「イスラメイ」で圧巻のヴィルトゥオジティを見せる。

 第2部は、N響ゲスト・アシスタント・コンサートマスターも務める充実の名手、郷古廉が気迫のバッハ「シャコンヌ」を。佐藤由起(ファゴット)、Cocomi(フルート)、森松炎山(オーボエ)の木管トリオは、期待の若手ふたりをN響の佐藤が支える。続いて、やはり人気ヴァイオリニストの三浦文彰が清水和音とラヴェル「ツィガーヌ」で勝負。最後はテレビでもおなじみ高嶋ちさ子と12人のヴァイオリニスト(桐朋バージョン)が、華やかなステージを作りあげる。

 第3部は、豪華メンバーによる桐朋学園伝統の弦楽オーケストラで、ヴィヴァルディ「四季」の抜粋が予定されている。出演予定者は全員がソロを務められそうな顔ぶれで、ソリストが誰になるのか楽しみだ(ヴァイオリン出演者は郷古廉、山根一仁、神谷未穂、礒絵里子、渡邉ゆづき、南紫音、服部百音、小林美樹、﨑谷直人、三原久遠、篠原悠那、北田千尋)。そして最後は“桐朋といえばこの曲!”、チャイコフスキー「弦楽セレナード」。桐朋伝統の合奏の力、さらには全員がソロもアンサンブルもできる音楽家としての総合力の高さを、存分に示してくれるはずだ。

 桐朋学園ならではの一貫教育、おおらかで門戸の広い校風、随一の指導レベルと学生・生徒たちの水準の高さ。音楽への厳しさと、壁を作らないつながりの強さこそが桐朋学園の大きな魅力であり、それを多彩な名演で示して次の10年に向かう豪華なステージとなる。
文:林昌英
(ぶらあぼ2022年11月号より)

2022.11/27(日)17:00 サントリーホール
問:桐朋学園音楽部門同窓会03-3305-3100 
https://www.tohogakuen-alumni.org