シルヴァン・カンブルラン(指揮) 読売日本交響楽団

マエストロ十八番のフランス・プロで3年ぶりに登場

 2019年3月に常任指揮者を退任したシルヴァン・カンブルラン(現・桂冠指揮者)が3年ぶりに読響に帰ってくる。10月29日、30日の2日間、東京芸術劇場でのコンサートは得意のフランス音楽が並ぶ。最初はビゼー「アルルの女」 第1組曲、第2組曲。全曲が演奏される機会は意外に少ない。力強い〈前奏曲〉や美しい〈アダージェット〉、優美な〈メヌエット〉、プロヴァンスの太鼓とともに熱狂していく〈ファランドール〉など、ビゼーの旋律美と色彩感をカンブルランが存分に聴かせてくれることだろう。

 ジョリヴェ「トランペット協奏曲第2番」は、コントラバスと8本の管楽器、ハープ、ピアノ、パーカッションにトランペットソロが加わる編成で、ジャズの要素も取り入れた野心的な作品。モーリス・アンドレを生んだ最難関のARDミュンヘン国際音楽コンクール・トランペット部門で、史上初の女性にして弱冠20歳で第1位となった、オーストリア出身の名手、セリーナ・オットが登場する。多彩なトランペットの妙技が楽しみだ。

 最後はフローラン・シュミットの代表作、バレエ音楽 「サロメの悲劇」。印象派とワーグナーを融合したとも言われる精緻な管弦楽法は、後の作曲家にも大きな影響を与えた。黙劇の付随音楽として作曲されたが、バレエ化にあたり大編成の管弦楽に編曲され、後に組曲に改訂された。今回はこの組曲版での演奏となる。R.シュトラウスのオペラと異なり、サロメは王の命で殺されるのではなく、最後は神の怒りにふれ天変地異の中に消滅する。この曲の録音もあるカンブルランの真骨頂を聴けるだろう。
文:長谷川京介
(ぶらあぼ2022年10月号より)

第251回 土曜マチネーシリーズ 
2022.10/29(土)
第251回 日曜マチネーシリーズ 
10/30(日)
各日14:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390 
https://yomikyo.or.jp