INTERVIEW 新井鷗子（横浜音祭り２０２２ディレクター）

誰もが楽しめる音楽祭
横浜ならではのお祭りを満喫しよう！

取材・文：原 典子

　3年に一度の「横浜音祭り」が今年も9月に開幕する。横浜の街を舞台に、オールジャンルにわたる250以上のプログラムが展開される日本最大級の音楽フェスティバル。2013年の初回からディレクターを務める新井鷗子氏に話をきいた。

 「主催、共催、パートナー事業など、さまざまな形態のプログラムから構成されており、アマチュアの市民参加にも力を入れています。“クリエイティブ・インクルージョン”をキーワードに、あらゆる人にとって開かれた音楽祭を目指してきましたが、いつも念頭に置いているのが、それぞれの多様性を尊重し、安易なコラボレーションをしないこと。すべてを入れつつ、無理に同化させないことが多様性の確保には大切だと思っています。アマチュアの皆さんにはプロと一緒に参加する喜びを感じていただきつつ、プロの演奏に刺激をうけていただければと。そして、コンサートに来られない人や障がいのある人も参加できる場であるよう工夫を重ねています」

　主催公演は、千住真理子＆N響のメンバーによるアンサンブル、反田恭平＆Japan National Orchestraによるクロージングコンサートをはじめ豪華なラインナップ。なかでも注目は市内すべての区のホールを使って開催される「横浜18区コンサート」である。

 「もとは2016年の横浜音祭りのとき、18区のホールで、18曲あるショパンのノクターンを1曲ずつ演奏して回ろうとはじまった企画です。改修のため休館中の横浜みなとみらいホールが、出張公演として18区のホールで昨年から開催し、横浜にゆかりある実力派による、ヴァイオリンやピアノの協奏曲を室内楽編成で演奏するプログラムがご好評いただきました。今回はさらに、横浜みなとみらいホールのプロデューサー（プロデューサー in レジデンス2021-2023）でもあるカウンターテナーの藤木大地さんらが加わり、知られざる傑作や新作も披露されます」

　今回新たにはじまる企画としては、共通券でライブハウスをハシゴすることができる「横浜音祭りライブ・ホップ！」も面白そうだ。

 「昼の時間帯のライブもありますので、クラシックのホールにしか行ったことのない方も、ぜひ足を運んでみてください。大中小のライブハウスがひしめくみなとみらいエリアは、世界でも稀にみる音楽都市なのです。横浜JAZZ協会が挾間美帆さんに委嘱した新作が、横浜みなとみらいホールでヨコハマ・ポップス・オーケストラ（神奈川フィルハーモニー管弦楽団）によって初演されますが、そういったかたちで横浜の魅力を世界に発信していけたらと思います」

　港街横浜の風土に根ざし、人々に愛される音楽祭へと成長を遂げた横浜音祭り。きっとここにしかない体験が待っていることだろう。

 「ヨーロッパのように住宅地のなかに教会があって、パイプオルガンがある街は、他になかなかありませんよね。『パイプオルガンと横浜の街』は、そういった教会や学校にある素晴らしいパイプオルガンの音色を聴くことができる貴重な機会。また、市内のショッピングモールや公園など、あらゆる場所で音楽に遭遇できる『街に広がる音プロジェクト』では思わぬ出会いも。人々の生活のなかに音楽が溶け込んでいる、横浜ならではのお祭りをお楽しみください」

注目公演をピックアップ！

横浜音祭り2022
2022.9/17（土）〜11/6（日） 横浜市内全域〈横浜の“街”そのものが舞台〉
※最新情報は公式ウェブサイトをご覧ください。

「横浜音祭り2022」は250公演以上！ ※チケット情報は7月1日時点の状況です。
横浜音祭りチケットセンター 045-453-5080