巨匠ロトと盟友パユの共演! 超絶技巧が光るマヌリの協奏曲と至高のマーラー

左より:フランソワ=グザヴィエ・ロト ©Wolf-Peter Steinheisser/エマニュエル・パユ ©Anoush Abrar/種谷典子 ©STUDIO KUMU

 読響の「横浜マチネーシリーズ」は、東京での公演同様の傑作を、港町・横浜の休日午後のひと味違った空気感の中で堪能できるのが魅力。その11月公演に、フランスの国際的名指揮者フランソワ=グザヴィエ・ロトと、世界最高峰のフルート奏者、エマニュエル・パユ(ベルリン・フィル首席)が登場する。演目は、両者によるマヌリの「サッカード」、そしてマーラーの交響曲第4番「大いなる喜びへの賛歌」という極めて興味深い2曲だ。

 まずは後半のマーラー。古楽への造詣が深く、作曲当時の時代精神をモダンオーケストラの演奏に反映させるロトは、均整のとれたスタイリッシュな響きで、雄弁かつ引き締まった音楽を聴かせる。この特質は、8月のサイトウ・キネン・オーケストラとのブルックナーの交響曲第8番でも見事に証明されている。そうした彼が、天国的でメルヘンチックなマーラーの4番をいかに紡ぐか? 大いに注目される。また、25年11月の《夕鶴》つう役で読響と共演して喝采を浴びたソプラノの種谷典子の清澄な歌声にも期待がかかる。

 前半はフランスを代表する世界的作曲家フィリップ・マヌリの作品。「サッカード」は実質的なフルート協奏曲で、タイトルは「早口でまくしたてる」といった意味を持つという。これは、超絶技巧を要するフルートとオーケストラが互いに影響し合いながら進行する作品で、人気スター、パユの妙技を存分に堪能することができる。しかもロトとパユは2018年に同曲の世界初演を受け持ったコンビ。ここは、その演奏経験を生かした「ヒューマンで鮮烈な現代音楽」を味わえるに違いない。

文:柴田克彦

(ぶらあぼ2026年11月号より)

フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮) 読売日本交響楽団
第154回 横浜マチネーシリーズ 2026.11/29(日)14:00 横浜みなとみらいホール
第663回 定期演奏会 11/30(月)19:00 サントリーホール
問 読響チケットセンター0570-00-4390
https://yomikyo.or.jp


柴田克彦 Katsuhiko Shibata

福岡県生まれ。音楽マネージメント勤務を経て、フリーの音楽ライター・評論家&編集者となる。雑誌、コンサート・プログラム、Web、宣伝媒体、CDブックレットへの、取材・紹介記事や曲目解説等の寄稿、プログラム等の編集業務を行うほか、講演や講座も受け持つなど、幅広く活動中。著書に『山本直純と小澤征爾』(朝日新書)、 『1曲1分でわかる! 吹奏楽編曲されているクラシック名曲集』(音楽之友社)。