ヴィクトリア・ムローヴァ、ピリオドでの探究を経てモダン楽器でベートーヴェンに臨む

左:ヴィクトリア・ムローヴァ
右:アラスデア・ビートソン ©Aga Tomaszek

 世界屈指のヴァイオリニスト、ヴィクトリア・ムローヴァが、スコットランド出身のピアニスト、フォルテピアノ奏者、室内楽奏者としても活躍するアラスデア・ビートソンとともに、4年ぶりに日本でベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタを披露する。前回は、グァダニーニ(ガット弦)とフォルテピアノによる演奏であり、2024年に録音を完結させたソナタ全集もピリオド楽器での演奏だったので、待望のモダン楽器によるリサイタルとなる。ピリオドとモダン、その両方を自在に行き来するムローヴァだが、ベートーヴェンはここのところピリオド・スタイルでの探求を続けてきたので、それを経てモダン楽器でどのような到達点が示されるのか楽しみだ。

 今回、東京オペラシティ コンサートホールで取り上げるのは、ヴァイオリン・ソナタの最高峰とされる「クロイツェル・ソナタ」を含む3曲。第2番は、伝統を踏襲しながらもヴァイオリンの溢れ出る豊かな表現が魅力的な作品。第4番は、2曲セットで構想された第5番「春」との対比が意識され、カノンや対位法の要素が用いられるなど構造もユニーク。そして第9番「クロイツェル」では、内から外へ、ストラディヴァリウスの美音が煌めく、才気煥発なヴァイオリンとピアノとの火花散る掛け合いに圧倒されるだろう。近年の欧州ツアーできわめて高い評価を受ける彼らのベートーヴェン演奏。2027年のベートーヴェン・イヤーに向けてぜひとも押さえておきたい。

文:柴辻純子

(ぶらあぼ2026年11月号より)

ヴィクトリア・ムローヴァ ヴァイオリン・リサイタル
2026.11/17(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
https://www.operacity.jp

他公演
11/19(木) 横浜/フィリアホール(パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831)
11/21(土) 大阪/ザ・フェニックスホール(同上)
※公演によりプログラムは異なります。