高関健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

リズムの技法が光る傑作を集めて

 高関健が東京シティ・フィル常任指揮者に就任してから今春で8シーズン目を迎えたが、意外にも今年の3月まで、高関は同楽団定期演奏会でブラームスの交響曲を取り上げていなかった(音楽祭など客演は除く)。その3月のティアラこうとう定期、満を持して取り上げたのは第1番。堅固にして柔軟、精緻にして余裕のある、お互いの信頼関係がよく示された充実のブラームスを聴かせた。それから4ヵ月後、早くも再びブラームスを取り上げて第3番に挑む。本作の新しい魅力まで明らかになるような、味わい深き名演への期待が高まる。

 また、今シーズンのティアラこうとう定期には高関が4回中2回登場するが、いずれも前半にバルトークとモーツァルトが組まれている。時代も作風もかなり違う両者の対比は興味深く、発見もありそう。7月のバルトークは土俗性と熱気あふれる「舞踏組曲」。モーツァルトはフルート協奏曲第1番で、同楽団首席奏者の竹山愛がソロを務めることが話題になっている。楽団の好調を支えるプレイヤーのひとりである彼女のモーツァルト、典雅な美音を満喫できる好演になることは間違いない。

 ところで、ブラームスの3番といえば、第3楽章を筆頭とするメロディの美しさ、豊かなハーモニーに加えて、シンコペーションの多用、小節の頭(1拍目)がわからなくなる仕掛けなど、実は随所でリズムの工夫が際立つ曲でもある。そのブラームスとバルトークが並ぶコンサート、「リズム」に注目してみるのも一興かもしれない。
文:林昌英
(ぶらあぼ2022年6月号より)

第69回 ティアラこうとう定期演奏会 
2022.7/9(土)15:00 ティアラこうとう
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 
https://www.cityphil.jp