カルテット・アマービレ BRAHMS Plus 〈Ⅲ〉

気鋭グループに加わる豊穣な厚み

 Hakuju Hall独自の室内楽シリーズ「カルテット・アマービレ BRAHMS Plus」の第3弾が開催される。これは、新世代の弦楽四重奏団「カルテット・アマービレ」が、毎回名手をゲストに迎えて、ブラームスを軸にした多様な室内楽曲を聴かせる好企画。これまで、チェロの堤剛&ヴィオラの磯村和英、ピアノの清水和音というベテランとともに五、六重奏曲を披露し、普段とはひと味異なる音楽世界へ誘ってきた。

 2015年に結成されたカルテット・アマービレは、16年に難関のARDミュンヘン国際音楽コンクールで第3位に入賞して注目を集めた気鋭グループ。以後、精緻かつ鮮烈な演奏で目覚ましい活躍を続けている。そして今回のゲストは、ソリストで桐朋学園大学特任教授などを務めるチェロの山崎伸子と、読売日本交響楽団ソロ首席ヴィオラ奏者・鈴木康浩。室内楽にも長けた彼らが、また新たなサウンドと音楽をもたらしてくれる。

 全員で奏でるのはドヴォルザークの弦楽六重奏曲。イ長調特有の明朗さや生命力に溢れた名曲で、作曲者お得意の民族色と恩人ブラームスばりの重層感が耳を楽しませる。同曲は編成的に生演奏が稀少ゆえ、今回ぜひ耳にしたい。前半はプッチーニの「菊」とブラームスの弦楽四重奏曲第2番。前者の哀切なトーン、後者の精緻なベートーヴェン的迫力がいかに表現されるか? 両曲ではアマービレの真価も堪能できる。常設グループに名手が加わると、語法が統一された土台の上で、立体的な厚みや清新なニュアンスが生まれるもの。その唯一無二のアンサンブルに期待が集まる。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2022年5月号より)

2022.6/24(金)19:00 Hakuju Hall
問:Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 
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