東京芸術劇場 海外オーケストラシリーズ Ⅰ レナード・スラットキン(指揮) フランス国立リヨン管弦楽団

極上のフレンチ・テイストを満喫


 パリに次ぐフランス第二の都市リヨンは、2000年もの歴史を持つ南東部の古都。ここの歌劇場は音楽監督・大野和士のもと今月来日するが、7月にやってくるフランス国立リヨン管弦楽団はこれとは別団体。間を開けずに同じ都市のオペラと楽団がやってくるのは珍しい。合わせて聴くと、パリとは一味違ったフランスの一面、リヨン・テイストが分かるかもしれない。
 リヨン管は2007年に前音楽監督の準・メルクルと来日した折にも、薫り高くもくっきりとした輪郭のサウンドを聴かせてくれた。11年からはレナード・スラットキンがこの役を引き継ぎ、3シーズンを経て機も熟しているようだ。
 東京芸術劇場公演のプログラミングは、お国もので固めている。まずはラヴェルのオーケストレーションと描写力が光る「マ・メール・ロワ」(マザー・グース)組曲。続いてヨーロッパに加え日本での躍進も続く小菅優のソロで、同じくラヴェルの「ピアノ協奏曲」。今回の来日でリヨン管が小菅と共演するのは、この日のみ。そしてメインディッシュがサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付」。シンフォニックな展開の合間にオルガンが清涼に鳴り響いたかと思えば、大交響楽と一体化して壮大なクライマックスを形作る(オルガン:石丸由佳)。
 東京芸術劇場は一昨年のリニューアルオープン後、ナチュラルで広がりのあるサウンドが聴かれるようになった。特に「オルガン付」のようなスケールの大きな作品で、リヨン管の特性を素直に引き出してくれるのではないだろうか。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ + Danza inside 2014年7月号から)

7/19(土)15:00 東京芸術劇場コンサートホール
問:東京芸術劇場ボックスオフィス 0570-010-296
http://www.geigeki.jp