文:伊熊よし子
「クラシックは敷居が高い」「かしこまって聴かなくてはならない」「何を着て行ったらいいかわからない」「曲目に関してあまり知識がない」「咳ひとつできないような静かな状態が辛い」「1曲が長すぎる」など、クラシック音楽は堅苦しいと思われがち。しかし、実際はすばらしい作曲家が残した作品を演奏家が全身全霊を傾けて演奏する姿勢に触れると、そんなルールは吹き飛んでしまう。
もちろん、コロナ禍の現在は感染予防のために基本的なルールは守らなくてはならないが、音楽を楽しむことは自由である。
そんなクラシックシーンに新たな試みが登場した。「That’s クラシック!~光のオーケストラ~」は、従来のクラシックを聴くときにありがちな煩わしいルールを極力排除し、写真撮影もOK、映像とのコラボレーションや照明演出・特殊効果を取り入れ、五感を刺激するような音楽体験ができるよう工夫されている。この場に身を置けば、自然に全身が音楽に包まれるような感覚を抱くことができるのである。
それらに加えて、個性的な出演者がさまざまなトークを展開。作品に関して、演奏に関して、そして音楽全般について、わかりやすく楽しく聴衆に語りかけるような解説が付いている。
前回も大好評となり、多くの聴衆から拍手喝采を受けたが、第2回となる今回はさらにバージョンアップ。「現代ホスト界の帝王」と称され、実業家でもあるROLANDがクラシック音楽のイベントに初参加するという画期的な試みが展開される。今回は、「闇から光へ」をテーマに壮大なオーケストラの演奏と、聴衆を圧倒的な空気に包み込む映像・照明演出で、ファンタジーあふれる日常から離脱するような世界へといざなわれる。
プログラムは『スター・ウォーズ』よりテーマ(J.ウィリアムズ)、『スター・ウォーズ』より帝国のマーチ(J.ウィリアムズ)、『ゴッドファーザー』より愛のテーマ(ニーノ・ロータ)、バレエ音楽「白鳥の湖」より「情景」(チャイコフスキー)、交響曲第5番「運命」より(ベートーヴェン)、歌劇《フィガロの結婚》より序曲(モーツァルト)、歌劇《アイーダ》より「凱旋行進曲」(ヴェルディ)、歌劇《カヴァレリア・ルスティカーナ》より間奏曲(マスカーニ)、威風堂々第1番(エルガー)という、いずれも人気の高い名曲がずらり勢ぞろい。
ジョン・ウィリアムズの曲は、さまざまなシーンで演奏されるため、多くの人が耳になじみのあるものとなっているが、これをフルサイズのオーケストラが演奏すると、まさに映画のシーンをほうふつとさせる迫力と壮大さが伝わり、全身が映画の世界へと一気に運ばれていくような感覚を抱く。
映画音楽では、ニーノ・ロータの人気は圧倒的なものがある。一度聴いたら心に残るその情感あふれる美しい旋律は、瞬時に映画のワンシーンを蘇らせてくれる。『ゴッドファーザー』は不朽の名作。「愛のテーマ」は一緒にメロディを口ずさみたくなるほどだ。
舞台音楽の傑作、バレエ音楽の名曲を残した作曲家といえば、チャイコフスキーの右に出る人はいない。「白鳥の湖」はその代表格で、心に響く旋律が印象的である。クラシックの名曲で、ベートーヴェンの「運命」が一番好きという人も多いのではないだろうか。これを聴いたら、日常のストレスや悩みは一気に霧散し、魂が浄化されるような気分が生まれるのではないだろうか。
指揮者の川瀬賢太郎はシンフォニーはもちろんだが、オペラも得意としている。モーツァルトの《フィガロの結婚》、ヴェルディの《アイーダ》、マスカーニの《カヴァレリア・ルスティカーナ》は、得意な演目である。演奏は東京フィルハーモニー交響楽団で、このオーケストラは1911年創立。日本のオーケストラとして最古の伝統と歴史を誇っている。両者の共演は、まさにオペラティックでシンフォニック。各々の楽器がクリアに響くとともに、全体のバランスとハーモニーは圧巻だ。
最後を飾るのはイギリスを代表する作曲家エルガーの「威風堂々」。これは「希望と栄光の国」を意味し、「イギリス第2国歌」とも称される人気の高い作品。まさにイベントのフィナーレにふさわしく、聴き手も元気をもらうことができ、前に進む勇気を与えられる。
そして今回の注目は、イベント・ホストを務めるROLAND。この華やかなクラシックコンサートに、彼がどのようなスパイスを振りかけてくれるのか、期待は募るばかり。きっと、これまで経験したことのない斬新でユニークで印象に残るステージが生まれるに違いない。
前回も出演者のトークで楽しさが倍増。クラシックと聴き手との距離を少しでも縮める工夫や、曲をいろんな角度から楽しむ要素が満載。人生が豊かになることまちがいなしだ。
That’s クラシック!~光のオーケストラ~
2022.1/25(火)19:00 東京国際フォーラム ホールC
出演
川瀬賢太郎(指揮)
東京フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)
ROLAND(イベント・ホスト)
曲目
『スター・ウォーズ』よりテーマ(J. ウィリアムズ)
『スター・ウォーズ』より帝国のマーチ(J. ウィリアムズ)
『ゴッドファーザー』より 愛のテーマ(ニーノ・ロータ)
バレエ音楽「白鳥の湖」より『情景』(チャイコフスキー)
交響曲 第5番「運命」より(ベートーヴェン)
歌劇《フィガロの結婚》より序曲(モーツァルト)
歌劇《アイーダ》より『凱旋行進曲』(ヴェルディ)
歌劇《カヴァレリア・ルスティカーナ》より間奏曲(マスカーニ)
威風堂々 第1番(エルガー)
※出演者・曲目は変更となる場合がございます。
問:ソニー音楽財団 03-3515-5261
https://www.smf.or.jp
【Profile】
川瀬賢太郎(指揮)
現在、最も注目を集める若き俊英の一人。
1984年東京生まれ。2007年東京音楽大学卒業。指揮を広上淳一ほか各氏に師事。2006年東京国際音楽コンクール<指揮>において2位(最高位)に入賞。以来、各地のオーケストラ公演を指揮、多彩なプログラミングで聴衆を魅了する。また、オペラ公演も多数指揮。第14回 齋藤秀雄メモリアル基金賞受賞。現在、神奈川フィル常任指揮者、名古屋フィル正指揮者。オーケストラ・アンサンブル金沢常任客演指揮者。東京音楽大学作曲指揮専攻(指揮)特任講師。三重県いなべ市親善大使。2022年4月より札幌交響楽団正指揮者に就任。
東京フィルハーモニー交響楽団
1911年創立。メンバー約160名、シンフォニーオーケストラと劇場オーケストラの両機能を併せもつ。名誉音楽監督チョン・ミョンフン、首席指揮者アンドレア・バッティストーニ、特別客演指揮者ミハイル・プレトニョフ。自主公演、新国立劇場他でのオペラ・バレエ演奏、放送演奏や教育プログラムなどで高水準の演奏活動を展開。海外公演でも高い評価を得る。Bunkamuraオーチャードホールとフランチャイズ契約を結んでいる。
ROLAND
東京・八王子生まれ。ホスト、実業家。
高校卒業後、大学をすぐに中退し18歳で歌舞伎町へ。
1年間の下積み時代を経たのち、歌舞伎町の売上記録を更新し続け「現代ホスト界の帝王」と称される。自身がオーナーを務めるホストクラブ「THE CLUB」を立ち上げ独立。
現在は実業家として脱毛サロン、美容院、アパレルブランド経営などの傍ら、TVや雑誌などメディアでも幅広く活躍。
また、アニメ好き、名門・帝京高校のサッカー部出身など意外な一面もあわせ持ち、YouTubeチャンネルは登録者105万人を超える(2021年10月時点)。