東京交響楽団 2022/23シーズンの聴きどころ

新ウィーン楽派を主軸に、過去・現在・未来と連なる音楽の旅

 東京交響楽団の2022/23シーズンラインナップが発表された。音楽監督ジョナサン・ノットによる9シーズン目となるが、今回も好奇心を刺激するプログラムがずらりと並ぶ。

 ノットは5月、7月、10月、11月の4回にわたって来日。合唱が大活躍する壮麗なウォルトンの「ベルシャザールの饗宴」(5/21,5/22)、オーケストラの機能性を最大限に要求するマーラーの交響曲第5番(7/16)、共産主義体制下で作曲家の真情が吐露されたショスタコーヴィチの交響曲第4番(10/15)など、大編成の重量級作品が目をひく。オーケストラを聴く醍醐味をたっぷりと味わえそうだ。

 ほかにノットの公演ではブルックナーの交響曲第2番(10/22,10/23)とベートーヴェンの交響曲第2番(11/26,11/27)のふたつの「第2」も興味深い。これまでノットと東響のコンビは継続的にブルックナーとベートーヴェンをとりあげて、エキサイティングな名演をくりかえしている。また、ベルクの「7つの初期の歌」(7/16)やシェーンベルクの「弦楽四重奏のための協奏曲」(10/9)、ウェーベルンの「パッサカリア」(10/22,10/23)といった新ウィーン楽派の作品がプログラムの随所に織り込まれているのも特徴的だ。

 客演指揮者陣も充実している。4月はフランスの俊英、リオネル・ブランギエが招かれ、ストラヴィンスキーの組曲「火の鳥」(1919年版)、リーズ・ドゥ・ラ・サールの独奏によるラヴェルのピアノ協奏曲ほか、色彩感あふれるプログラムが組まれる(4/23, 4/24)。

 6月にはイオン・マリンがチャイコフスキーの交響曲第4番とストラヴィンスキーの「火の鳥」(1910年版)による聴きごたえのあるプログラムを用意する(6/25)。「火の鳥」をブランギエの組曲版とマリンの全曲版で両方体験できるチャンス到来。

 7月はベルリン・フィルの首席クラリネット奏者アンドレアス・オッテンザマーが、なんと、指揮台に立つ。ブラームスのクラリネット・ソナタ(ベリオ編曲による管弦楽版)という協奏作品に加えて、モーツァルトの交響曲第35番「ハフナー」なども(7/2)。どんな指揮ぶりになるのか、興味津々。

 8月には作曲家としても名高いマティアス・ピンチャーが招かれ、自作の「牧歌」やラフマニノフの「交響的舞曲」を指揮する(8/20)。「サントリーホール サマーフェスティバル2021」でも評判を呼んだピンチャーとの再会だ。

 9月はウズベキスタン出身のアジス・ショハキモフが登場、プロコフィエフの交響曲第5番を中心としたプログラムを披露する(9/17, 9/18)。ショハキモフは1988年生まれの新鋭で、すでにストラスブール・フィルの芸術監督を務めるライジングスター。

 11月には桂冠指揮者ユベール・スダーンの指揮で、シューマンの交響曲第3番「ライン」、郷古廉と岡本侑也をソリストに招いてブラームスの「ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲」などが演奏される(11/5)。また、12月は、同じく桂冠指揮者の秋山和慶がベートーヴェンの「第九」を指揮(12/21)。東響の礎を築いたベテランが相次いで登場する。

 さらに、日本の若手も話題性十分。2023年2月は、正指揮者の原田慶太楼が菅野祐悟の交響曲第2番「Alles ist Architektur—すべては建築である」をメインプログラムに据える(23.2/19)。菅野は映画やテレビドラマなどで幅広く活躍する作曲家で、同曲は19年に初演されて話題を呼んだ。

 続く3月にはオランダ・バッハ協会第6代音楽監督の佐藤俊介が、指揮とヴァイオリンで活躍。シュポアのヴァイオリン協奏曲第8番、ベートーヴェンの交響曲第1番、メンデルスゾーンの「弦楽のための交響曲第8番」を組み合わせる(3/18)。驚きに満ちた一夜を期待できそうだ。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2022年1月号より)

問:TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 
https://tokyosymphony.jp
※2022/23シーズンの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。