日本とベトナムが新作オペラを制作
2023年《アニオー姫》ハノイで世界初演

 2023年の日本とベトナムの外交関係樹立50周年を記念して、新作オペラ《アニオー姫》の制作・初演が決まった。12月16日にベトナムのハノイオペラハウスにてこのプロジェクトの記者発表会が開催された。登壇者は、同プロジェクトの名誉顧問である山田滝雄(在ベトナム日本国大使館特命全権大使)、総監督・代表の本名徹次(ベトナム国立交響楽団音楽監督兼首席指揮者)、共同代表のチン・トゥン・リン(ベトナム国立交響楽団代表)、作曲家のチャン・マィン・フンら。

「アニオー姫」制作陣/写真提供:「アニオー姫」プロジェクト事務局

 この作品は、17世紀初頭の史実をモチーフに、日本人の貿易商・荒木宗太郎と広南国(現在のベトナム中部)の王女・玉華姫(「アニオー姫」)の恋物語を描いた全4幕の創作オペラ。二人は大海原の船上で出会い、運命的な再会を経て結婚。異国・長崎で暮らし始めた王女は「アニオーさん」(広南の言葉に基づく愛称)と呼ばれ、鎖国という運命に直面しながらも生涯を長崎で過ごした。アニオー姫の輿入れの様子は、今も長崎のお祭り「長崎くんち」の演目として語り継がれている。

 日本とベトナムは、古くから多くの人や文化の交流があり、良好な関係を築いてきた。この作品を通してさらに絆を深め、両国の音楽文化と友好関係が発展していくことを目指して制作が進められている。

 台本は、演出と作詞も務めるバリトン歌手大山大輔が執筆。日本語で書かれる台本が翻訳され、ベトナムの作曲家/作家のハー・クアン・ミンがベトナム語で作詞を担当する。舞台では日本語とベトナム語両方が使用され、字幕付きで上演される予定。

 長年にわたりベトナムを拠点に活躍を続け、プロジェクトの総監督を務める本名は、「コロナ禍で簡単な行き来が難しくなった現在は、物語の主人公が直面した状況(鎖国時代)と重なる。日本とベトナムの未来を信じ、両国の交流が再び日常となり、一層深化していくように願わずにはいられません」と語り、共同代表のチン・トゥン・リンが「ベトナムでの初演のあとには日本公演も実現したい」と述べた。

 同作は2023年9月にベトナムのハノイオペラハウスでの初演が決定。2022年の春にはキャストの発表が予定されている。

【Information】
「アニオー姫」プロジェクト事務局
https://anio-opera.jp