@調布国際音楽祭開催

 今年6月に東京都調布市で開催予定だった調布国際音楽祭が、新型コロナウイルスの影響により全日程中止となったことを受け、急遽インターネットに場を移し、動画配信による「@調布国際音楽祭」として代替開催されることが決定した。6月3日、エグゼクティブ・プロデューサーの鈴木優人が、Zoomミーティングの形でメディア関係者に向けたオンライン記者会見を行った。
 「このような状況のなかで私たちができることを手探りで検討し、議論を重ねました。音楽を通してコミュニケーションをキープしたい。2年くらい前から準備を進めてきた音楽祭はあいにくすべて中止となりましたが、毎年開くお祭なので、来年につなげていこうという前向きな提案のもと、チームとともに知恵を絞ってオンライン音楽祭を実現しようと考えました」と鈴木優人は経緯を語った。

オンライン会見に臨む鈴木優人
写真提供:ジェスク音楽文化振興会

 開催にあたっての出演費用・運営資金確保のため、クラウドファンディングを通じて支援を募っている。支援者には、オリジナルTシャツなどさまざまなリターンが用意されている。
「本当に短期間のあいだに実現できて、スタッフの皆さんに感謝したい。この音楽祭は街のお祭で、調布の皆さんも大変な状況にある中で開催しますので、コストは別な形で賄うことを当初から決めていました。そのために、クラウドファンディングを通してコストのカバーを皆さんにお願いしていきたい」(鈴木優人)

 オンライン音楽祭は、当初予定されていた音楽祭と同じ日程(6/14〜6/21)で、特設サイトを通じて配信される。期間中は、1日に10時(15分)、15時(30分)、20時(45分)の3回配信を実施(6/14のみ2回)。栗コーダーカルテットや桐朋学園大学打楽器科学生などが参加するキッズプログラムも7回予定されている。
 クラウドファンディングの支援者へのリターンとして限定公開される鈴木優人のチェンバロリサイタル以外は、すべて視聴は無料。配信はYouTubeで行われる。 

 メインとなる夜のプログラムは「Beethoven and More!」と題し、ベートーヴェンの作品を特集する。目玉とも言えるのが、マルティン・シュタットフェルト(ピアノ)のリサイタル。ドイツの自宅から、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第15番「田園」(抜粋)&第23番「熱情」などを披露するという。鈴木雅明は教会からの中継でオルガンリサイタルを行い、ベートーヴェン「自動オルガンのためのアダージョ」ほかを演奏。西原稔(桐朋学園大学大学院教授)&鈴木優人によるWEB対談『ベートーヴェンとその時代』も予定されている。オランダから参加する佐藤俊介(ヴァイオリン)&スーアン・チャイ(フォルテピアノ)によるベートーヴェンのスプリング・ソナタ、バリトンの加耒徹によるベートーヴェン「遙かなる恋人に寄す」とシューマン「詩人の恋」全曲も話題を呼びそう。
 最大の注目は、フィナーレを飾る「第九」。鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)による、音楽家100人が参加したオリジナル楽器によるオンライン合奏(収録)で、ソリストには来日予定だったソプラノのアン=ヘレン・モエンら海外勢が参加。BCJのCDも手がけるBISレーベルのサウンド・エンジニアが動画の制作に携わるという。

 そのほか、同音楽祭の主な出演者は、森下唯(ピアノ/調布国際音楽祭アソシエイト・プロデューサー)、カルテット・アマービレ、福川伸陽(ホルン)、鈴木秀美(チェロ)、木嶋真優(ヴァイオリン)など。
 クラウドファンディングの募集は6月12日まで。

@調布国際音楽祭
http://at.chofumusicfestival.com
@調布国際音楽祭クラウドファンディング(CAMPFIRE)
https://camp-fire.jp/projects/view/277321