【SACD】ドヴォルザーク:交響曲第8番/小林研一郎&ハンガリー放送響

 先月80歳を迎えた小林研一郎が昨秋指揮した記念演奏会の記録。大地に根を張ったようなどっしりとしたテンポ、硬質なサウンドに、美しいソロや大見得を切るフレーズが色を添える。随所に炸裂するコバケン節のみならず、うんうんといううなり声、熱狂的拍手までが捉えられ、臨場感満載だ。東欧のオケでドヴォルザークを指揮して自分色に染めてしまうあたりは見事という他ないが、ハンガリー放送響は1974年に小林が同国のコンクールに優勝した時から、継続的に指揮してきたゆかりの深い団体と聞けば納得。アンコール(ハンガリー舞曲第5番)の農耕民族を思わせるリズム感はやはり唯一無二だ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2020年6月号より)

【information】
SACD『ドヴォルザーク:交響曲第8番/小林研一郎&ハンガリー放送響』

ドヴォルザーク:交響曲第8番
ブラームス:ハンガリー舞曲 第5番

小林研一郎(指揮)
ハンガリー放送交響楽団

収録:2019年9月、サントリーホール&愛知県芸術劇場コンサートホール(ライヴ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00720 ¥3200+税