いま世界トップランクにいるカルテットならではのコンセプチュアルなCD。バルトーク4番第2〜5楽章を分けて配置し、ラヴェルやドヴォルザークのダンサブルな楽章、それらにインスパイアされたオリジナルのリミックス・ピースを挟み、ピアノ、ギター、パーカッションとのセッションで、音によるフィールドワークが展開……という感じで、センスあふれるライブハウスの一夜として楽しむべき1枚。打楽器付きのバルトーク第2・4楽章はたしかに面白く発見も多いが、原曲通りの第5楽章の完璧かつ強烈なパフォーマンスは比類がなく、通常の演奏での全曲録音も強く期待したい。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2026年5月号より)

【information】
CD『イン・ザ・フィールズ/ヴィジョン弦楽四重奏団』
ラヴェル:弦楽四重奏曲より第2楽章/フロリアン・ヴィライトナー:ラヴェル・リローデッド/バルトーク:弦楽四重奏曲第4番より第2〜5楽章/ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第13番より第3楽章/マハン・ミララブ:コンヴァレセンス 他
ヴィジョン弦楽四重奏団 他
ACT/東京エムプラス
ACT 90702S ¥オープン価格

林 昌英 Masahide Hayashi
出版社勤務を経て、音楽誌制作と執筆に携わり、現在はフリーライターとして活動。「ぶらあぼ」等の音楽誌、Webメディア、コンサートプログラム等に記事を寄稿。オーケストラと室内楽(主に弦楽四重奏)を中心に執筆・取材を重ねる。40代で桐朋学園大学カレッジ・ディプロマ・コース音楽学専攻に学び、2020年修了、研究テーマはショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲。アマチュア弦楽器奏者として、ショスタコーヴィチの交響曲と弦楽四重奏曲の両全曲演奏を達成。

