「第29回 京都の秋 音楽祭」が9月13日開幕!クラシックが古都の秋を彩る

 今年、開館30周年を迎える京都コンサートホールを舞台に「第29回 京都の秋 音楽祭」が開かれる。9月13日から11月30日にかけて、国内外のアーティストたちが登場し、バラエティに富んだプログラムを披露する。注目公演を挙げてみたい。

左:沼尻竜典 右:上村文乃 ©Mina Kitano(HTJ)

 まずは9月13日の「開会記念コンサート」。各地のオーケストラで意欲的な活動を展開する沼尻竜典が地元の京都市交響楽団を率いて、イギリスを代表するふたりの作曲家、エルガーとホルストの名曲をとりあげる。エルガーのチェロ協奏曲で独奏を務めるのは上村文乃。モダン楽器とピリオド楽器の両方で活躍する実力者が、エルガー最後の大作に込められた哀愁と情熱を存分に表現してくれることだろう。ホルストの人気曲「惑星」では、京響の高機能アンサンブルによるスペクタクルが聴きもの。

左上より:辻 彩奈 ©Makoto Kamiya/荒井里桜 ©AMUSE Photo Takahiro Sakai
中 恵菜 ©Junichiro Matsuo/横坂 源 ©Sotaro Goto/五十嵐薫子 ©Seiji Okumiya

 10月12日の「マルタ・エクート…」ではマルタ・アルゲリッチが認めたアーティストたちというふれこみで、ヴァイオリンの辻彩奈、荒井里桜、ヴィオラの中恵菜、チェロの横坂源、ピアノの五十嵐薫子が集結。俊英たちがメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番、シューマンのピアノ五重奏曲で躍動する。

左より:城戸かれん/松居直美/永野英樹 ©J.RADEL/上野由恵 ©武藤 章

 10月28日はトーク付きのランチタイム・コンサート、「京都北山マチネ・シリーズ」。若手の注目株、ヴァイオリンの城戸かれんがピアノの江沢茂敏とのデュオで、クライスラーの小品とベートーヴェンの「クロイツェル」ソナタでウィーンの香りを届ける。

 京都コンサートホール自慢のパイプオルガンの響きに浸れるのが、11月1日の松居直美「J.S.バッハに至る道」。日本オルガン界の第一人者が、スウェーリンクからバッハへと至るオルガン音楽の軌跡をたどる。

 11月8日は「ブーレーズへのオマージュ」。今年生誕100年を迎えたブーレーズと、ラヴェル、シェーンベルクの作品がとりあげられる。パリのアンサンブル・アンテルコンタンポランでブーレーズと多くの時をともにした永野英樹が出演。フルートの上野由恵らが共演する。

左上より:クラウス・マケラ ©Marco Borggreve/アレクサンドル・カントロフ ©Sasha Gusov
広上淳一 ©Masaaki Tomitori/酒井 格/菊本和昭 ©あかつき写房

 11月11日、世界が注目するコンビがやってくる。若き偉才クラウス・マケラが、世界最高峰の名門ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団とともに来日。アレクサンドル・カントロフ独奏によるブラームスのピアノ協奏曲第1番とバルトークの「管弦楽のための協奏曲」を演奏する。スーパーオーケストラの妙技に興奮必至。

 11月15日は「京都コンサートホール×京都市交響楽団プロジェクト」の第6弾として、広上淳一と京響の名コンビがレスピーギの「ローマ三部作」を中心とした華麗なプログラムを披露する。石丸由佳のオルガンも加わったバーバーの「祝典トッカータ」もゴージャス。音の饗宴だ。

 11月30日は「KCH的クラシック音楽のススメ」第6弾「ブラス・スターズ in KYOTO」。作曲家・酒井格(いたる)のプロデュースにより、トランペットの菊本和昭ら京都ゆかりの日本のトッププレーヤーたちが夢の共演を果たす。金管アンサンブルの魅力をたっぷりと味わえる。

 今年の「京都の秋 音楽祭」は一段と華やかだ。

文:飯尾洋一

(ぶらあぼ2025年9月号より)

第29回 京都の秋 音楽祭
2025.9/13(土)~11/30(日) 京都コンサートホール
問:京都コンサートホール075-711-3231 
https://www.kyotoconcerthall.org
※音楽祭の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。


飯尾洋一 Yoichi Iio

音楽ジャーナリスト。著書に『クラシックBOOK この一冊で読んで聴いて10倍楽しめる!』新装版(三笠書房)、『クラシック音楽のトリセツ』(SB新書)、『マンガで教養 やさしいクラシック』監修(朝日新聞出版)他。音楽誌やプログラムノートに寄稿するほか、テレビ朝日「題名のない音楽会」音楽アドバイザーなど、放送の分野でも活動する。ブログ発信中 http://www.classicajapan.com/wn/