【SACD】kuniko plays reich II/加藤訓子

 加藤訓子のライヒ作品集第2弾は初期から比較的近作まで4作を集めた。全編、加藤の多重録音で妥協のない完成度を誇る。「フォー・オルガンズ」の一つの和音から様々な表情を引き出すプロセス、「ピアノ・フェイズ」(2台のヴィブラフォン編曲版)のズレからくるキラキラとした輝き、反復が生む催眠効果——シンプルなアイディアが身体化されていく様にマジカルなオーラが漂う。「ナゴヤ・マリンバ」「マレット・クァルテット」ではテクスチュアがより複雑になり、緩急緩といった構造も生まれ、聴き手は絡まりあう旋律の綾と心地よいパルスに身を任せながら万華鏡のような世界を通過していく。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2024年6月号より)

【information】
SACD『kuniko plays reich II/加藤訓子』

スティーヴ・ライヒ:フォー・オルガンズ、ピアノ・フェイズ(加藤訓子編/2台のヴィブラフォン版)、ナゴヤ・マリンバ、マレット・クァルテット

加藤訓子(マリンバ/ヴィブラフォン/オルガン/マラカス)

Linn Records/ナクソス・ジャパン
CKD712 ¥3490(税込)