東京二期会が2015/16シーズンラインアップを発表

 「東京二期会 2015/16シーズンラインアップ」の記者会見が、9月14日、《イドメネオ》の上演を控えた新国立劇場にて行われた。
 中山欽吾・新理事長の挨拶に続いてラインアップの紹介。演目、演出、指揮、歌手の全てに意欲漲る陣容が発表された。

左から)山口毅(事務局長兼企画制作部長)、中山欽吾(理事長)、深作健太(映画監督・脚本家・演出家)、準・メルクル(指揮者)、幸田浩子(ソプラノ)、山本耕平(テノール) Photo:M.Terashi
左から)山口毅(事務局長兼企画制作部長)、中山欽吾(理事長)、深作健太(映画監督・脚本家・演出家)、準・メルクル(指揮者)、幸田浩子(ソプラノ)、山本耕平(テノール) Photo:M.Terashi

 大きな柱は3つ。1つ目は「オペラ初演出の演出家の起用」。映画監督の深作健太が《ダナエの愛》、宝塚歌劇団で活躍していた荻田浩一が《ウィーン気質》を担当し、「慣例に縛られない舞台」を提供する。2つ目は「海外の歌劇場との提携」。パルマ王立歌劇場との《リゴレット》、リンツ州立劇場との《魔笛》など、共同制作を推進する。3つ目は「海外のアーティストとの協力体制」。世界的指揮者、準・メルクルが、今回の《イドメネオ》に続いて《ダナエの愛》、同会の《ナブッコ》や東京フィルの公演で絶賛を博した俊英アンドレア・バッティストーニが《リゴレット》《イル・トロヴァトーレ》を指揮するなど、継続的な関係を築いていく。
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 続いて個々の演目。《フィガロの結婚》以外は全て新制作だ。まず2015年2月はヴェルディ《リゴレット》。バッティストーニのほか、山本耕平のマントヴァ公爵など歌手陣にも期待が集まる。5月はヘンデル《ジューリオ・チェーザレ》。古楽の雄・鈴木秀美の本格的なオペラ初指揮が話題を呼ぶ。7月は宮本亜門の新演出によるモーツァルト《魔笛》。パミーナの幸田浩子をはじめベスト・キャストが組まれ、デニス・ラッセル・デイヴィスが、大震災直後の《フィガロの結婚》以来の指揮をとる。10月はR.シュトラウス《ダナエの愛》。2006年に若杉弘指揮/二期会が演奏会形式での日本初演を行った作品で、今回は注目の舞台初演となる。11月はJ.シュトラウス《ウィーン気質》。本場の実績ある阪哲朗の指揮、荻田浩一の演出で、楽しい日本語オペレッタを提供する。2016年2月はヴェルディ《イル・トロヴァトーレ》。バッティストーニが都響との初共演を果たす。そして7月は宮本亜門演出のモーツァルト《フィガロの結婚》。ミヒャエル・シェーネヴァントが、日本で初めてオペラを振る。

 この後、ソプラノの幸田浩子が「《魔笛》は様々な役を歌ったオペラですし、素晴らしい共演者陣も楽しみです」、テノールの山本耕平が「現在まさにマントヴァに留学中。緻密な準備をしたい」といった抱負を述べ、さらにここで登壇した準・メルクルが《イドメネオ》《ダナエの愛》の特徴、深作健太が「オペラの演出は夢だった。現代日本から振り返りながら、普遍的なファンタジーとして描きたい」との旨を語った。
 二期会の今後に大きな期待を抱かせる会見となった。

取材・文:柴田克彦 Photo:M.Terashi

東京二期会
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東京二期会 2015-2016シーズンラインアップ
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