アンドレア・バッティストーニ(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団

イタリア人指揮者によるアメリカ大陸プログラム

Photo:Roberto Masotti
Photo:Roberto Masotti

 2014年1月の東京フィル定期に出演が予定されていた女性指揮者アロンドラ・デ・ラ・パーラが3月に出産を控えているために来日できなくなった。代わって指揮台に上がるのは、今年5月に同フィル定期に登場して高い評価を得ているアンドレア・バッティストーニ。ヴェローナ生まれで、20代にしてパルマ王立歌劇場の首席客演指揮者を務めている話題のイタリアの俊英だ。
 デ・ラ・パーラはアメリカ大陸での活動が多く、選曲にもその色が濃く反映されている。「ラプソディ・イン・ブルー」(1/26)、「ウェスト・サイド物語」(1/31)、「新世界より」(1/26,1/28)などに加え、チャベス「インディオ交響曲」(1/26,1/28)というメキシコの指揮者でなければ、まず取り上げないであろう曲も入っている。その3プログラムがそのまま引き継がれたために、“若手イタリア人指揮者によるアメリカ大陸プログラム”が期せずして出来上がった、というわけなのだ。
 ベルリン・フィル首席の清水直子のソロによるバルトークの遺作「ヴィオラ協奏曲」(1/28)は作曲家の息子が直筆譜をできる限り生かして改定した版を用いる。難易度がさらにアップしているという。キューバ生まれのピアニスト、ホルヘ・ルイス・プラッツによる「ラプソディ・イン・ブルー」では、ラテンな味わいがどのように表現されるのか期待が募る。
 5月の「ローマ三部作」で、バッティストーニは東京フィルを多彩かつ豊かに鳴らしながら、常に明晰なテクスチュアを提示していた。こうした美質はもちろん今回も期待できようが、アメリカ音楽にはリズム感やノリも重要になる。若き才能がこの点をどう料理するのか。これは面白そうだ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2013年12月号から)

第842回 オーチャード定期演奏会 
★1月26日(日)・Bunkamuraオーチャードホール

第83回 東京オペラシティ定期シリーズ Lコード:37883
★1月28日(火)・東京オペラシティコンサートホール

第843回 サントリー定期シリーズ Lコード:37843
★1月31日(金)・サントリーホール

問:東京フィルチケットサービス03-5353-9522 
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