都響が2021年度楽季プログラムを発表

エリアフ・インバルが待望の来日を果たし、この1月にワーグナーやブルックナーの大曲を演奏して話題騒然の東京都交響楽団が2021年度楽季プログラム(2021年4月〜2022年3月)を発表した。

大野和士
(C)Rikimaru_Hotta

新シーズンは大野和士音楽監督のタクトで、都響十八番、マーラーの交響曲第1番「巨人」により開幕(21.4/20)。続けて、藤村実穂子(メゾソプラノ)とニコライ・シュコフ(テノール)を招いてのマーラー「大地の歌」をショスタコーヴィチの交響曲第1番を併せて贈る(4/25, 4/26)。マーラーの出世作と晩年の傑作を同時期に演奏するという大野らしい攻め方。
秋には生誕150年のツェムリンスキーの「メーテルリンクの詩による6つの歌」(ソロ:藤村実穂子)と歌劇《フィレンツェの悲劇》(演奏会形式)をセス・カリコ(バリトン)ほか強力な歌手陣を揃えて上演(10/20, 10/21)。さらにターネジ「タイム・フライズ 2020」(都響とNDRエルプフィルほかの委嘱作品、日本初演)とブリテン「春の交響曲」と、20世紀&21世紀のイギリスの巨匠によるプロを用意するなどすこぶる意欲的だ。砂川涼子、清水華澄、新国立劇場合唱団ほかとの共演(22.2/18)。

桂冠指揮者エリアフ・インバルは、アレクセイ・ゼレンコフ、ヘルシンキ大学男声合唱団との共演によるショスタコーヴィチの交響曲第13番「バービイ・ヤール」(22.3/14, 3/15)、バルトーク「中国の不思議な役人」組曲とリストのピアノ協奏曲第1番(ソロ:マリアム・バタシヴィリ)などのこれもまた刺激的な“ハンガリー・プロ”を披露する(3/19)。

エリアフ・インバル
(C)Rikimaru_Hotta

加えて、首席客演指揮者アラン・ギルバートのバーンスタイン「キャンディード」組曲、コープランド「アパラチアの春」、アイヴズの交響曲第2番という“20世紀アメリカ・プロ”(2021.6/26)、都響初登場となるダニエル・ハーディングのR.シュトラウス「アルプス交響曲」(7/18, 7/19)、マルク・ミンコフスキによるブルックナーの交響曲第5番(ノヴァーク版)(9/9)などオケファン垂涎の強力なラインナップとなっている。

今回のプログラムについて大野は、「昨年から、私たちを撹乱し続けるかつてない状況は、音楽をはじめとする人間の文化の受け止め方に大きな転換を迫りました。演奏の分野でもリモートが自然のコミュニケーションとなり、その中で工夫を凝らした発信のヴァリエーションも増え続けています。しかしながら、一方で、私たちが、それら多様なコミュニケーションゆえに、改めてはっきりと認識し直したことは、私たちが演奏し、聴衆の皆様とコンサートホールで一体となるための『生きた音楽』の尊さであったと思います。今シーズンのコンサートカレンダーがより完全な形で実現することを願ってやみません」とメッセージを寄せている。

東京都交響楽団
https://www.tmso.or.jp