ベートーヴェンとピアノの深い関係を探る
生誕250年を迎えるベートーヴェンの作品を全5回にわたって紹介する東京芸術劇場の「ミーツ・ベートーヴェン・シリーズ」。その第1回には日本を代表するピアニストの一人、仲道郁代が登場する。作曲家がその作品を書いた時代にどんな楽器が使われていたかに深く関心を持ち、自分でもオリジナル楽器を所蔵する仲道。このコンサートでもベートーヴェンと同時代に使われていたシュタインとブロードウッドという彼女自身の楽器を弾き、同時に現代のピアノであるヤマハ「CFX」も使って、いわゆる「弾き較べ」にトライする。
まずシュタインでベートーヴェンの比較的初期の名作であるピアノ・ソナタ「悲愴」と「月光」(第1楽章のみ)を、ブロードウッドで後期のピアノ・ソナタ第30番を弾く。そして、ヤマハ「CFX」で「月光」全曲と「ワルトシュタイン」を演奏する。ベートーヴェンの生きていた時代はピアノが大きく進化する時代で、その楽器によってベートーヴェンの音楽作りも変わっていったと言われる。シュタインとブロードウッドという楽器の違いで、ベートーヴェンがどんな発想の転換を成し遂げたのかに思いを馳せ、現代の楽器との弾き較べでは、ベートーヴェンの時代を超える創造力を知る、そんな興味深いコンサートになりそうだ。
第2回以降には、清塚信也、山中千尋、山下洋輔、清水和音が登場。ベートーヴェンの世界を深く掘り下げる。改めて音楽の巨人の素顔に迫る聴き逃せないシリーズとなる。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2020年1月号より)
ベートーヴェン生誕250周年記念
ミーツ・ベートーヴェン・シリーズ Vol.1 仲道郁代
2020.1/10(金)19:00 東京芸術劇場コンサートホール
問:東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296
https://www.geigeki.jp