フランシス・プーランクの夕べ

“プーランク節”の洗礼を受けてみよう

(c)Marco Borggreves
鈴木雅明(c)Marco Borggreves

スタイリッシュなリズムと小粋なメロディによる音楽を多く残し、一方で厳粛なカトリックの声楽作品も作曲。今年、没後50年を迎えたフランスの作曲家フランシス・プーランクの作品は、恩師と言えるエリック・サティのエスプリ&諧謔精神を受け継ぎ、ジャズやシャンソンなど他ジャンルの音楽ともリンクする。一度魅了されてしまったら最後、抗しきれない不思議な魅力があるのだ。
その膨大なプーランク作品のエッセンスを抽出した記念コンサート《フランシス・プーランクの夕べ》(気軽な雰囲気のタイトルがこの作曲家にぴったり!)は、初めてプーランクを聴くという方にも太鼓判でオススメできるプログラムだ。コケティッシュなパリジェンヌを連想してしまうピアノ曲で幕を開け、歌曲、室内楽曲と編成を徐々に拡大。つむじ風のような音楽の中に、おしゃれなフレンチポップスを思わせるメロディが浮かび上がるといった“プーランク節”の洗礼を受け、コンサートの前半でもう虜になってしまうだろう。ピアノの菊地裕介を軸とする管楽器奏者たちや歌手(全員が東京オペラシティのホール名物企画「B→C」出演者)が、見事な演奏で作曲家を讃えてくれるはずだ。
後半は鈴木雅明指揮による「オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲」と「スターバト・マーテル」で、一気にスケールアップ。マーラーの交響曲なども指揮する鈴木だが、プーランク作品は珍しい。オルガンを鈴木優人が演奏するのも大きなトピックだ。さあ、あなたもプーランク・ファンの仲間入りを。

文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ2013年10月号から)

★10月23日(水)・東京オペラシティ コンサートホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 http://www.operacity.jp