通崎睦美(木琴) 木琴文庫 vol.2

驚きと発見に満ちた多彩な選曲

(c)中川忠明
(c)中川忠明

京都出身の木琴奏者・通崎睦美が、往年の名木琴奏者・平岡養一(1907〜81)の愛器を手に、東京と京都でリサイタルを開催する。往年の音楽ファンにとって、平岡養一は懐かしい名前かもしれない。独学で木琴を学び、渡米した平岡は、11年にわたり名門・NBC交響楽団の専属として活動。帰国後は日本のクラシック、ポピュラー双方のファンに愛された音楽家だ。通崎は、1935年にシカゴで製作された木琴を平岡から譲り受けたそうだ。
今回のリサイタルは、9月9日発売された通崎の著作『木琴デイズ 平岡養一〜天衣無縫の音楽人生』に関連する曲目をちりばめた、とても洒落た構成になっており、ピアノの西脇千花とリコーダーの本村睦幸が共演する。通崎は生前の平岡と一度共演しているという。平岡70歳、通崎10歳の時で、その思い出の共演曲、モンティの「チャールダーシュ」でリサイタルが始まる。プログラムには平岡の愛奏曲「アマリリス」(編曲:当摩泰久)、平岡の所蔵楽譜から発見された江文也の「祭りの主題による狂詩曲」なども含まれる。平岡の従兄弟が編曲したメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲をレパートリーにしていた平岡だが、今回通崎は、同曲第3楽章にもとづく西邑由記子作品を披露する。新作委嘱にも積極的で、黛敏郎や伊福部昭に木琴協奏曲を依頼した平岡。そうした心意気を引き継ぎ、通崎が委嘱した新作は、伊左治直による木琴とリコーダーのための「スパイと踊り子」。驚きと発見に満ちた多彩な選曲で楽しませてくれそうだ。

文:伊藤制子
(ぶらあぼ2013年10月号から)

★10月10日(木)・東京オペラシティリサイタルホール
19日(土)・京都府立府民ホールアルティ
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