情熱的かつ濃厚な愛の世界
「歌う表現者としての林美智子の変遷を追う」というコンセプトで2008年にスタートした、王子ホールの「Player」シリーズ。これまでのテーマも、「ズボン役」「後期ロマン派歌曲」「武満徹」「ベルエポック」と、彼女の魅力を多角的に見つめてきた企画だ。その5回目は「愛に生きる女性たち」と題して、フランス・オペラのヒロインに焦点を当てる。コンサートはゲーテの『ファウスト』つながりの2作から。グノー《ファウスト》でズボン役・シーベルが歌う〈花の歌〉と、ベルリオーズ《ファウストの劫罰》のマルガレーテのアリアを2曲。マルガレーテと、彼女に恋する若者の両方を、続けて演じることになるのは面白い。プログラム後半はビゼー《カルメン》とサン=サーンス《サムソンとデリラ》という、フランス・オペラを代表する二人のヒロインが登場。情熱的で濃厚な愛の世界に浸りたい。ピアノには今回も、オーケストラ級の振幅の表現を聴かせる河原忠之を迎えて万全!
文:宮本 明
(ぶらあぼ2013年9月号から)
★10月11日(金)・王子ホール
問:王子ホールチケットセンター03-3567-9990 http://www.ojihall.jp
チケット:ローチケLコード37917