オペラシアターこんにゃく座 オペラ《遠野物語》 新作初演

東北の気候風土に根ざした伝承が神秘の音物語として甦る


 1971年から40年あまりにわたり日本語によるオペラを上演してきたオペラシアターこんにゃく座。2012年に座付作曲家であり芸術監督だった林光が亡くなった後も、オリジナル作品を中心とした独自のオペラを発表し続けている。

 そんなこんにゃく座の新作は、民俗学者・柳田國男が明治43年に発表した説話集『遠野物語』のオペラ化だ。岩手県遠野に伝わる様々な怪異譚を集めたこの作品には、河童や座敷わらしなどの不思議な生き物、古くから伝わる神様たち、あるいは神隠しといった不思議な現象がたくさん登場する。柳田自身はこれをすべて実際にあった出来事だとしているが、虚実ないまぜとなった世界に魅了された人々は多い。確かにこれをオペラにするのは面白そうだが、同時に一筋縄ではいかないだろうことも想像に難くない。結成以来「日本語と日本」に徹底的にこだわってきたこんにゃく座だからこそ手がけることが可能な題材といえるだろう。

 作曲は吉川和夫、萩京子、寺嶋陸也というグループ「緋国民楽派」の3人による共同制作。台本は、「演劇ユニットてがみ座」を主宰、民俗学や歴史や国といった骨太のテーマで今大きな注目を浴びる劇作家・長田育恵。そして、2016年こんにゃく座公演《Opera club Macbeth》(林光作曲)の演出で評判を呼んだ劇団俳優座の眞鍋卓嗣が再び登場する。こんにゃく座の歌役者たちの実力もお墨付きだ。「これぞこんにゃく座」といわれるような名プロダクションとなるにちがいない。
文:室田尚子
(ぶらあぼ2019年2月号より)

2019.2/7(木)〜2/17(日) 六本木/俳優座劇場
問:オペラシアターこんにゃく座044-930-1720 
http://www.konnyakuza.com/

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