武満の出世作と、彼を見出した巨匠の傑作2作を併せて
東京シティ・フィルの11月の定期演奏会は、常任指揮者・高関健の指揮で、ストラヴィンスキー&武満徹という20世紀プログラム。まずは、「詩篇交響曲」。合唱は、もちろん、東京シティ・フィル・コーア(合唱指揮は藤丸崇浩)だ。彼らは、今年7月の東京シティ・フィルの定期演奏会(飯守泰次郎指揮)でブルックナーのミサ曲第3番を好演したばかり。「詩篇交響曲」は、ストラヴィンスキーがボストン交響楽団の創立50周年を祝して1930年に旧約聖書をテキストとして書いた、彼にとっての初めての大規模な宗教的作品。ストラヴィンスキーの新古典主義時代の代表作であり、東京シティ・フィル・コーアが高関の指揮のもと、どんなハーモニーを作り上げるか注目である。真ん中で、武満徹の「弦楽のためのレクイエム」が演奏される。57年に書かれた若き武満の出世作。59年に来日していたストラヴィンスキーが偶然、この曲の録音を聴き、武満の才能を絶賛。武満徹の名前を世界に広めるきっかけとなった作品でもある。最後に、「ペトルーシュカ」(1947年版)が演奏される。「ペトルーシュカ」は、ストラヴィンスキーの三大バレエのなかで二番目に書かれた作品。謝肉祭のペテルブルクでの人形芝居小屋が描かれている。1947年版は、新古典主義に転じたストラヴィンスキーが、4管編成の1911年版を3管編成に編曲し直したもの。若い世代の奏者の加入とともにますます充実度を高めている東京シティ・フィルの管楽器陣の妙技が楽しみだ。
文:山田治生
(ぶらあぼ2018年11月号より)
第320回定期演奏会
2018.11/16(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002
http://www.cityphil.jp/