グスターボ・ドゥダメル(指揮)

スカラ座でヴェルディのスコアと向き合えるなんて最高です!

ジルベール・デフロ演出の《リゴレット》は、スカラ座が誇る看板演目の中でもリッカルド・ムーティの残り香が漂う傑作である。悄然たるヴェルディの内面をデフロの陰影が厳かに映しだして、ムーティの重厚な響がそれを見事に覆っていた。中でも新しいプロダクションとして登場してきた1994年、レナート・ブルゾンとレオ・ヌッチによりタイトル・ロールを分けた公演には凄まじいものがあった。声色で聴衆を圧倒したブルゾン、はたまた歌い回しと演技力とでスカラ座を呻らせたヌッチ、アンドレア・ロストのジルダ、ロベルト・アラーニャの公爵という何とも贅沢な布陣も手伝い、ムーティ、デフロの共同作業に華を添えていた。

ヴェルディ中期の傑作であり、デフロ、そしてムーティにより訪れる人々を魅了しながらスカラ座の看板演目になったこの《リゴレット》を振るために、まだ32歳になったばかりのドゥダメルが指揮台に上がる。

「自分は恵まれていました」。楽屋に戻り、ワイシャツのボタンを掛けながら応える。開幕まで15分を切っている。「『エル・システマ』という、ベネズエラに根付いた教育機関の中で音楽に親しんできました。強要されずにのびのびと、気の合う仲間たちと音づくりできたことが今に繋がっています。この教育制度が世界的な注目を集めていたおかげで多くの芸術家と知り合うことができました。サイモン・ラトル、クラウディオ・アバド、ダニエル・バレンボイムのような巨匠たちに声を掛けてもらい、また導いてもらえたのです」