愛知室内オーケストラが2025/26シーズンラインナップを発表

左より:山下一史©ai ueda/原田慶太楼©Shin Yamagishi

 愛知室内オーケストラ(ACO)が12月2日、2025/2026シーズン(25年4月~26年3月)のラインナップを発表した。
 ACOは、愛知県立芸術大学出身の若手演奏家を中心として2002年に発足した東海地域唯一の室内オーケストラ。22年から山下一史が初代音楽監督、24年からは原田慶太楼が首席客演指揮者兼アーティスティック・パートナーを務めている。
 また、元読響の小森谷巧がソロ・コンサートマスター兼アーティスティック・パートナー、サイトウ・キネン・オーケストラなどで活躍するヴィオラ奏者・川本嘉子が弦楽器アドヴァイザー兼首席客演奏者を担うなど、経験豊富なベテランを要職に迎えていることも特徴の一つ。

 2025/26シーズンは11回の定期演奏会を含む計16の主催公演を開催。山下は定期演奏会を中心に5回登壇する。
 新シーズンのキーワードに「レパートリーの深化」を掲げる山下。これまで取り組んできたドイツ作品を中心に取り上げつつ、邦人作品の紹介にも力を注ぐ。
 シーズン開幕の第86回定期(4/18)ではベートーヴェンの1番と7番という2つの交響曲を前後に配置。その間に、レジェンド舘野泉をソリストに迎え舘野と親交のあるアルゼンチン生まれの作曲家パブロ・エスカンデの「左手のためのピアノ協奏曲『アンティポダス』」を据える。
 また、第88回(5/23)ではブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」と交響曲第3番、ACOコンポーザー・イン・レジデンスの権代敦彦による新作「空の裂け目から~オーケストラのための~」(世界初演)を組み合わせる。
 
 原田慶太楼は2回登壇。第89回(7/26)では、シューベルトの交響曲第3番に、グラミー賞など多くの受賞歴を誇るジョン・コリリアーノの打楽器のための協奏曲「奇術師」(日本初演、独奏:マーク・ダモラキス(クリーヴランド管首席))、映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズのオーボエ協奏曲(独奏:山本直人(ACO首席客演奏者))と21世紀に書かれたアメリカ作品を組み合わせる。
 第91回(10/23)では、ソリストに元ベルリン・フィルの首席フルート奏者セバスチャン・ジャコーを迎え、C.P.E.バッハとライネッケの協奏曲を披露するなど、国内外で活躍する名手との共演にも注目だ。

 客演では、ユベール・スダーン(11/7)、尾高忠明(11/24)、沼尻竜典(26.1/8)ら名匠に加え、ハチャトゥリアン国際コンクールでの優勝以降各地のオーケストラから引く手あまたの出口大地(9/4)、ベルリン・フィルを経て現在はウィーン・フィルの首席ファゴット奏者を務める傍ら指揮活動も行うソフィー・デルヴォー(4/25)ら俊英も名を連ねる。
 また、かつてベルリン・フィルの首席ホルン奏者を務め、近年は指揮者としても活躍するラデク・バボラークは「ワールド・ホルン・サミット」(7/15)に登場。ベルリン・フィルの現首席シュテファン・ドールや日本を代表するホルニスト福川伸陽もソリストとして出演するなどこの楽器の世界的名手が集結する。

 その他のソリストも豪華な顔触れ。2022年に演奏活動60周年を迎えたヴァイオリニストの前橋汀子(26.1/8)や、多くの国際コンクールで審査員を務め、シューマンの卓越した解釈でも名高いピアニストのエリソ・ヴィルサラーゼ(11/24)といった大家に加え、9月のエネスク国際コンクールでの日本人初優勝、11月のパブロ・カザルス国際賞第1位など快挙が続くチェリストの北村陽(26.3/28)ら注目の若手も登場する。また、フィラデルフィア管の首席オーボエ奏者でサイトウ・キネンの常連でもあるフィリップ・トーンドゥル(7/18)ら名門オーケストラで活躍する名手たちのパフォーマンスも見逃せない。

愛知室内オーケストラ
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