日本フィルハーモニー交響楽団が首席指揮者ピエタリ・インキネンとの契約延長を発表

 日本フィルハーモニー交響楽団は、首席指揮者ピエタリ・インキネンとの契約延長を6月15日、都内で行われた会見で発表した。延長期間は2019年9月より21年8月までの2年間。
(2018.6/15 東京都内 Photo:S.Ito/Tokyo MDE)
インキネンは、09年より同団首席客演指揮者に就任、シベリウスなど母国の作品を中心に取り上げ、16年9月首席指揮者就任後からは、ワーグナーやブルックナーなどドイツ音楽にも力を入れた。
 また、日本フィルとしては実に13年ぶりとなるヨーロッパツアーの開催も併せて発表された。ツアーは19年4月より、初訪問となるフィンランドをはじめ、ドイツやイギリス、そしてインキネンの出身地でもあるコウヴォラ(フィンランド)でも公演を行う。プログラムはシベリウスの交響曲第2番、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番、エルガーのチェロ協奏曲ほか。ソリストはジョナサン・ビス、ジョン・リル(以上ピアノ)、18年5月イギリスで行われたヘンリー王子とメーガン・マークルの結婚式に出演した、シェク・カネー=メイソン(チェロ)。
 インキネンは「日本フィルとは実に実りの多い関係であった。ヨーロッパツアーでも演奏する、チャイコフスキーの交響曲第4番は、08年日本フィルと初共演した時の曲目。この曲は我々の関係の象徴の曲といってもよい。
 日本フィルとの関係は10年以上となるが、すぐにこのオーケストラとは興奮するような関係であった。長年のレパートリーとして、シベリウスは特に力を入れて取り組んできたが、日本フィルのシベリウスは世界的に見ても他のオーケストラと響きが違う。しかし進化のプロセスは今後も必要。ブルックナーの交響曲は今後も取り組みたいし、将来的にはワーグナーのプロジェクトもまたやりたい。幅広いレパートリーを取り上げることで、音楽の質・音・表現を向上させ、このオケを大きく前進させていきたい」と今後の抱負を述べた。
 ヨーロッパツアーについては、「洗練されたセンスや空気感、音色を繊細に表現してくれるため、日本フィルはシベリウスの世界をより際立たせてくれている。その日本フィルが、ヨーロッパツアーでシベリウスを演奏するのは自然なことであり、さらにフィンランドで演奏することはとても大きなこと。ツアー開催の19年は、日本とフィンランドの外交樹立100周年。さらに渡邉暁雄の生誕100年でもあり、非常におめでたい。ツアーで出身地でもあるコウヴォラでも演奏できることは、今からとても楽しみ」と語った。
 ツアー終了後は、日本でのヨーロッパツアーの凱旋公演も予定されており、19年6月には日本・フィンランド外交樹立100周年記念公演も開催。契約延長後の19年9月からはベートーヴェン・ツィクルスやドヴォルザークを中心に取り上げる。

日本フィルハーモニー交響楽団
http://www.japanphil.or.jp/