アニヴァーサリー・シーズン開幕公演でブルックナー5番に挑む
ファンの声援も熱い九州交響楽団が創立65周年の記念シーズンを迎え、近年の充実ぶりを映し出す構えの大きな交響曲を披露することになった。音楽監督小泉和裕の剛毅なタクトに導かれ、4月の定期で奏でるのは、オーストリアの孤高のシンフォニスト、アントン・ブルックナーの交響曲第5番変ロ長調(ノヴァーク版)。パイプオルガンの響きから育まれたコラールが荘厳な金管アンサンブルとして現れ、複雑なフーガの書法が際立つ。ブルックナー好きを狂喜乱舞させる交響曲が、九響のシーズン開幕とアニヴァーサリー・イヤーを寿ぐ。
小泉和裕が音楽監督に就任したのは2013年4月。前任秋山和慶(ミュージック・アドヴァイザー/首席指揮者)のもとでR.シュトラウスやマーラー、声楽を交えた近代の大作を披露し評価を高めてきた九響は、「あなたの街のオーケストラ」として地域社会に貢献するという活動理念とともに羽ばたこうとしている。
その昇華が小泉和裕十八番のブルックナー、それもこの作曲家「こだわり」の理論に根ざした筆致と気宇壮大な楽想を併せ持つ交響曲第5番で、何と九響「初演」。これは世代交代が進み、臆せずに大曲・難曲を奏でるようになった九響にとってもチャレンジとなる。
期待は限りない。やはり小泉が腕を揮うマーラーの交響曲第8番「千人の交響曲」(9月)、さらに新星カーチュン・ウォン(5月)、アンコール出演のアンドレア・バッティストーニ(11月)も創立65周年シーズンの主役たちだ。九響に好ましい風が吹いている。
文:奥田佳道
(ぶらあぼ2018年4月号より)
第366回 定期演奏会
2018.4/20(金)19:00 福岡シンフォニーホール
問:九響チケットサービス092-823-0101
http://www.kyukyo.or.jp/