アレクサンドル・ラザレフ(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団

グラズノフの隠れた逸品とプロコフィエフの刺激的な名作を


 2008年9月から8年間にわたり日本フィルの首席指揮者を務め、現在は桂冠指揮者兼芸術顧問として引き続き同楽団指揮者陣の一角を担うアレクサンドル・ラザレフ。その妥協を許さない音楽作りは日本フィルに大きな実りをもたらしてきた。プロコフィエフの交響曲全曲にはじまり、「ラザレフが刻むロシアの魂」と銘打ってラフマニノフ、スクリャービン、ショスタコーヴィチといったロシアの作曲家をとりあげ、現在はグラズノフに取り組んでいる。まさにロシア音楽の伝道師とでも呼ぶべきか。
 そして、この6月の東京定期では、グラズノフのバレエ音楽「お嬢様女中」、プロコフィエフのピアノ協奏曲第1番(独奏は若林顕)とスキタイ組曲「アラとロリー」を取りあげる。このコンビでしか聴けない貴重なプログラムといっていいだろう。
 グラズノフのバレエ音楽のなかでは「四季」や「ライモンダ」ならまだしも、「お嬢様女中」はなじみのない方がほとんどだろう。グラズノフの新たな魅力を発見することができそうだ。一方、プロコフィエフの両作品はいずれも1910年代の作品。先鋭で挑戦的な作風を掲げ、もっとも威勢のよかった時代の名曲である。「アラとロリー」のひりひりとするような熱さ、ピアノ協奏曲第1番の無機的なポエジーや歪んだユーモアは、この作曲家の魅力を最大限に伝えるもの。若林顕の技巧とラザレフの統率力が、強烈なインパクトをもたらしてくれるにちがいない。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ 2017年6月号から)

第691回 東京定期演奏会
6/16(金)19:00、6/17(土)14:00 東京文化会館
問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 
http://www.japanphil.or.jp/

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