大江 馨(ヴァイオリン)

©Shigeto Imura
 注目の若手ヴァイオリニストの一人である大江馨が、5月3日の『N響ゴールデン・クラシック』に登場し、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏する。
 大江は、仙台に生まれ、5歳でヴィオリンを始めた。慶應義塾高校に進学した頃は音楽家になるかどうかは決めていなかったが、「慶應義塾大学1年のときに、日本音楽コンクールの本選に進んだことで、音楽の道でやっていけるかなと思いました」という。法学部に在籍しながら、桐朋学園ソリスト・ディプロマ・コースに通った。そして大学3年の秋に、ドイツのクロンベルクアカデミーに留学し、現在、そこでクリスティアン・テツラフに師事している。
「堀正文先生に留学を相談し、堀米ゆず子先生にクロンベルクアカデミーをすすめられました。そこで教えているテツラフさんがちょうど来日して、パーヴォ・ヤルヴィ&ドイツ・カンマーフィルとブラームスの協奏曲を演奏するのを聴いて強烈な衝撃を受け、即、テツラフさんに習いたいと思ったのです。クロンベルクアカデミーは、弦楽器のみ、世界中から集まった20人ほどが、家族のように学んでいます。テツラフ先生のレッスンは刺激的です。楽譜の読み方が論理的で、あらゆることに根拠付けがしっかりとなされているのですが、アカデミックに弾くのではなく、最終的には自分の心からの歌として演奏することが求められます」
 「音楽的な個性は違う」ものの、テツラフの音楽作りに大江はとても共感するという。楽器についても、2ヵ月前からテツラフと同じくシュテファン=ペーター・グライナー製のヴァイオリンを弾いている。
「音色が新作の楽器の感じがしません。それでいてパワーがあり、湿度にも強く、丈夫で、管理が楽でもあります。また、新作だからか、早く馴染めるという良さもありますね」
 N響とは今回が2度目の共演となる(1度目は2014年、尾高忠明指揮でプロコフィエフの第1番を弾いた)。指揮はスペイン出身の俊英ロベルト・フォレス・ヴェセス。
「N響は小さい頃からの憧れです。チャイコフスキーは、これまで3回オーケストラと共演していますが、今回、これ以上ない素晴らしい舞台で弾かせていただけるのが本当にうれしいです。この曲は、華やかさやスケールの大きさの点で最高峰の協奏曲の一つだと思います。作品の“山”の大きさやフレーズの長さが特徴的で、山を登っていくときの道のりがとんでもなく長く、常に強く引っ張られるような力や推進力を感じます」
 今回のチャイコフスキーは、進境著しい大江を聴く、最高の機会といえよう。
取材・文:山田治生
(ぶらあぼ 2017年4月号から)

N響ゴールデン・クラシック
5/3(水・祝)14:30 東京文化会館
問:サンライズプロモーション東京0570-00-3337
http://sunrisetokyo.com/
※13:40からホール舞台上で大江馨&N響メンバーによるプレコンサートがあります。