20世紀と現代の名作が出会う
弦楽四重奏は完成されたトラディショナルなスタイルで、聴き手のイメージもできあがっている。これは創造の最前線では必ずしも長所ではない。21世紀に入った今も多くの新作が書かれているのは、作曲家とのコラボを通じてあらゆる奏法・試みに果敢にチャレンジし、既存のイメージを大胆に越えていくアルディッティ弦楽四重奏団のような存在があるからなのだ。40年間の活動で初演した曲は数百、CDは170枚を越える。驚異的な能産ぶりを誇る孤高の団体で、彼らの演奏に魅了されて継続的に楽曲提供する作曲家も多い。
今回もラヴェル、バルトーク(6番)という歴史的名曲を始まりと終わりに置き、間に彼らと関わりの深い二人の日本人作曲家を取り上げる。作曲界の両巨頭・西村朗と細川俊夫の作風は対照的。西村が音の洪水によって輝かしいアジア的夢幻を出現させるのに対し、細川は時間・空間の中での音のありようを問うていく。初演曲(西村)も含む今回のプログラムから、20世紀以降にクァルテットが切り開いてきた領域が見えてくるはずだ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ 2017年4月号から)
6/24(土)18:00 東京文化会館(小)
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650
http://www.t-bunka.jp/