新春を華やかに彩るサントリーホールのニューイヤー・コンサート。来年1月1日から3日に、ウィーン・フォルクスオーパー交響楽団がウィーンの伝統的で祝祭的な音楽を披露し、東京に楽都の風を運んでくる。2025年は「ワルツ王」と称されるヨハン・シュトラウスⅡ世の生誕200年にあたり、今回のプログラムもそれを存分に堪能できるように組まれている。実は、今年はこの作曲家の代表作《こうもり》の初演150年にあたる記念の年。そんな貴重なメモリアルイヤーが続く《こうもり》は、ウィーンの年末年始に欠かせないオペレッタで、華やかで楽しく、ストーリーも親しみやすい。今回演奏される序曲も、これから始まる物語への期待を高めてくれるワクワク感が詰まっている。他にも、「皇帝円舞曲」や「美しく青きドナウ」など、ウィンナ・ワルツやポルカの名作が綺羅星のごとく並ぶ。
ウィーン・フォルクスオーパー交響楽団のニューイヤー・コンサートは、アドリブあり、小芝居なども挟み込まれ、鍛え抜かれた歌やバレエも加わり、一瞬たりとも飽きさせない構成が特徴。指揮者のアレクサンダー・ジョエルは、ウィーン・フォルクスオーパーの首席客演指揮者を務め、いまやオペレッタを振らせたら右に出る者なしといわれる実力派。このオーケストラとの絆も深く、歌手の息遣いなども熟知している指揮者だ。1年の幕開けとなるお正月のひととき、少しおしゃれをしてサントリーホールで幕間にワインを嗜み、ウィーンの輝きを全身で感じる。記憶に残る日になるに違いない。
文:伊熊よし子
(ぶらあぼ2024年12月号より)
サントリーホール ニューイヤー・コンサート 2025
ウィーン・フォルクスオーパー交響楽団
2025.1/1(水・祝) 、1/2(木)、1/3(金)各日14:00 サントリーホール
問:サントリーホールチケットセンター0570-55-0017
suntoryhall.pia.jp