チェロが雄弁に奏でる20世紀音楽の名作
近年、すぐれた独奏チェリストが、次々と台頭している実感がある。1979年ミュンヘン生まれのヨハネス・モーザーもそのひとり。ベルリン・フィルをはじめトップ・クラスのオーケストラからソリストとして招かれる一方、ソロや室内楽でも意欲的な活動を展開している。
そのヨハネス・モーザーがこの秋、トッパンホールでリサイタルを開く。前半はバッハの無伴奏チェロ組曲第4番に加えてヒンデミットの無伴奏チェロ・ソナタ、デュティユーの「ザッハーの名による3つのストロフ」といった無伴奏作品、後半はラフマニノフの「ヴォカリーズ」やプロコフィエフのチェロ・ソナタ他で高橋礼恵のピアノと共演する。無伴奏とデュオを両方同時に聴ける「一粒で二度おいしい」プログラムだ。チェロのために書かれた20世紀音楽の傑作を知るという意味でも、大いに好奇心が刺激される。チェロという楽器そのものの魅力まで再発見できるのではないだろうか。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ 2016年11月号から)
11/29(火)19:00 トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222
http://www.toppanhall.com