ヘルベルト・ブロムシュテット(指揮) バンベルク交響楽団

レジェンドによる新たな名演の予感

ヘルベルト・ブロムシュテット  ©Martin U.K.Lengemann

ヘルベルト・ブロムシュテット
©Martin U.K.Lengemann

 チェコやオーストリアには、重厚で深いドイツ的な響きとも、力強く豪快なロシアの響きとも違う、朴訥で温かく、どこか渋い中欧の響きがあると思う。
 プラハに住んでいたドイツ人音楽家たちが、敗戦によってドイツに帰り設立したのがバンベルク響。だからそのルーツの一端は中欧にある。バンベルクは爆撃の破壊もまぬかれ、古き良き香りを残した町だが、この忙しい時代にあってもローカリティを失わず伝統を大切にする姿勢は楽団にも通底し、ドイツ的であると同時に中欧の色合いを含んだサウンドが高い人気を呼んでいる。
 今回の来日ツアーは世界中で名声が高まる一方の同団名誉指揮者ブロムシュテットとの共演。ブロムシュテットは御年89歳で、スイングする指揮ぶりこそこじんまりしてきたものの、演奏はむしろ凝集力を高めている。バンベルク響とは2012年の来日でも高い評価を得ており、N響への客演も毎回、大変な評判だ。筆者は昨年ルツェルン音楽祭で聴いたマーラー・ユーゲント管とのブルックナーの交響曲第8番を鮮やかに思い出す。図太く筋の通った解釈は現代ブルックナー演奏の規範というべきものだった。
 プログラムは、諏訪内晶子がヴァイオリン協奏曲を聴かせた後、交響曲第5番「運命」へ続くベートーヴェン・プログラム(10/29,11/2,11/5)、シューベルトの「未完成」からベートーヴェン「田園」につなぐ“2大交響曲プログラム”(11/3)、そしてベートーヴェン「エグモント」序曲に続けて、休憩なしでブルックナーの交響曲第7番(11/4)が演奏される演目など、実に多彩。良演確実、今秋聴いておきたい筆頭コンサートの一つだ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ 2016年10月号から)

10/29(土)15:00 福岡シンフォニーホール(092-725-9112)、10/30(日)15:00 メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場)(0985-28-3208)、11/1(火)18:45 愛知県芸術劇場 コンサートホール(中京テレビ事業052-957-3333)、11/2(水)、11/3(木・祝)各日19:00 サントリーホール(カジモト・イープラス0570-06-9960)、11/4(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール(03-5353-9999)、11/5(土)16:00 京都コンサートホール(075-711-3231)
※来日ツアーの詳細は右記ウェブサイトでご確認ください。
http://www.kajimotomusic.com