住谷美帆(サクソフォン)

サックス界にまた新星が現る!

 若手の台頭と活躍がめざましい日本サックス界に新星がまた一人。巨匠・須川展也の愛弟子で、現在、東京芸大3年に在学中の住谷美帆だ。12歳から吹奏楽部でサックスを始めた彼女は、繊細かつ大胆な演奏で、大学1年で日本管打楽器コンクールで第4位に入賞するなど、受賞歴も豊富。そんな彼女が、コンサートイマジンが若い才能を紹介するリサイタル・シリーズ『イマジン・シャイニング・スター・シリーズ』に登場する。しかも今回は、2012年の浜松国際ピアノコンクールの覇者で、多彩な音色と超絶技巧の持ち主として知られる名手イリヤ・ラシュコフスキーと初共演することでも注目を集めている。
「イリヤさんがロシアの方なので、グラズノフの協奏曲と、ムソルグスキー『展覧会の絵』という王道の2曲をメインに、ピアノと対等にわたり合えるプログラムを考えました」
 住谷は今回、前半の4曲をすべてアルトサックスで演奏するという。
「須川先生の得意曲でもあるカッチーニの『アヴェ・マリア』は、私の最も好きな作品のひとつ。グラズノフの協奏曲は、ロシアらしい壮大でゆったりとした曲想が魅力ですね。ボノーの無伴奏作品『ワルツ形式によるカプリス』は、技巧的ですが聴き映えもする作品。ボルヌの『カルメン幻想曲』も難曲ですが、その技巧的で華々しい楽曲の数々は、サックスの性能や特徴がよく伝わると思います」
 そして、後半の「展覧会〜」。住谷はこの大作を、長生淳の編曲版(ソプラノ、アルト、テナー、バリトンのサックス4本を一人で扱う)で演奏する。
「長生さん編曲の『展覧会〜』は、03年に須川先生がウィーンのムジークフェラインで成し遂げた衝撃的なパフォーマンスがあまりにも有名。でも、今年2月のNHK交響楽団のツアーでこの作品にエキストラ出演できたこともあり、あえてその高い壁に挑戦することにしました。私は普段、アルトとソプラノを吹くことが多く、バリトン・ソロは初体験。『ビドロ』『サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ』『バーバ・ヤーガの小屋』をこの楽器で吹くので、頑張って練習します」
 現在、芸大の先輩や後輩の女性たちとサックス・クァルテットを組んだり、大学の副科でクラリネットを学んだりと、幅広い分野で研鑽中の住谷。今後は弦楽器や打楽器との共演にも意欲をみせており、さらなる飛躍が期待される。
取材・文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ 2016年10月号から)

イマジン・シャイニング・スター・シリーズ Vol.16
住谷美帆 サクソフォン・リサイタル
10/28(金)19:00 Hakuju Hall
問:コンサートイマジン03-3235-3777
http://www.concert.co.jp