ロレンツォ・ヴィオッティ(指揮) 東京交響楽団

注目の新星、再び登場

ロレンツォ・ヴィオッティ ©Stephan Doleschal
ロレンツォ・ヴィオッティ ©Stephan Doleschal
 この9月、東京交響楽団の指揮台に立つのはロレンツォ・ヴィオッティ。2014年に急遽ウルバンスキの代役として東響に招かれ、好評を博した注目の新鋭である。代役を務めて脚光を浴びるというのは、優秀な若手指揮者が辿るお決まりのコースといってもいいが、ヴィオッティはすでにウェルザー=メストの代役としてロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団にもデビューを果たしている。15年のザルツブルク音楽祭ネスレ・ヤング・コンダクターズ・アワードを受賞したほか、13年のカダケス国際コンクールやライプツィヒMDRコンクールでも優勝し、将来を嘱望されている。
 ロレンツォ・ヴィオッティの父親は名指揮者マルチェッロ・ヴィオッティ。フェニーチェ歌劇場音楽監督などオペラ指揮者として活躍したが、05年に50歳で若くして世を去った。そんなオペラ指揮者の父親と、フランス人の母親の間に生まれ、ウィーンで指揮を学んだロレンツォは、その出自にふさわしい多彩なプログラムを組んだ。ベートーヴェンの交響曲第4番とR.シュトラウスの歌劇《ばらの騎士》組曲、そしてラヴェルの「ラ・ヴァルス」。ウィーンの交響曲からワルツを経由してフランスにたどり着く。指揮者のキャラクターがはっきりと伝わってきそうな選曲だ。
 東響に登場した若い指揮者が、その後またたく間に活躍の場を広げ多忙を極めるというのはなんどか目にしたパターンだが、ヴィオッティもそんな新星のひとりになりそうな予感。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ 2016年8月号から)

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