ショスタコーヴィチ没後50年の昨年11月に演奏された、小泉和裕と名古屋フィルによる交響曲第10番。小泉が師と仰ぐカラヤンが唯一録音したショスタコーヴィチ作品だけに思いも強いはずだが、思い入れ過剰にはならず、音楽が自然に流れる。速めのテンポで進めることで作品を重苦しいイメージから解放し、古典性すら引き出す。もちろん響きは雄渾で充実し、第1楽章の長いクライマックスや壮烈な第2楽章も表現の采配が行き届き、重要ポイントに最大のエネルギーがこもる。結尾の熱狂も見事。熱くも冷静な構築の巧みさ。ライブならではの荒さもあるが、その緊張感にも引き込まれる。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2026年9月号より)
【information】
CD『ショスタコーヴィチ:交響曲第10番 /小泉和裕&名古屋フィル』
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番
小泉和裕(指揮)
名古屋フィルハーモニー交響楽団
収録:2025年11月、愛知県芸術劇場 コンサートホール(ライブ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00922 ¥3850(税込)

林 昌英 Masahide Hayashi
出版社勤務を経て、音楽誌制作と執筆に携わり、現在はフリーライターとして活動。「ぶらあぼ」等の音楽誌、Webメディア、コンサートプログラム等に記事を寄稿。オーケストラと室内楽(主に弦楽四重奏)を中心に執筆・取材を重ねる。40代で桐朋学園大学カレッジ・ディプロマ・コース音楽学専攻に学び、2020年修了、研究テーマはショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲。アマチュア弦楽器奏者として、ショスタコーヴィチの交響曲と弦楽四重奏曲の両全曲演奏を達成。


