ドイツで飛躍を遂げるピアニスト・太田糸音 メンデルスゾーンの幻想と詩情をHakuju Hallで

©MASAKI KONO

 太田糸音は両親ともに音楽家という家庭に育ち、3歳から音楽教室で学び、作曲家になりたいという夢を抱くようになる。やがてひとりでオーケストラのような響きが出せるピアノに魅了され、東京音楽大学付属高等学校に入学。ここを2年次で早期修了し、飛び級で入学した東京音楽大学も早期卒業した。その後ドイツに留学し、現在はベルリン芸術大学でさらなる研鑽を積んでいる。

 2026年1月にはメンデルスゾーン全ドイツ音楽大学コンクールで優勝の栄冠に輝き、昨年エリザベート王妃国際コンクールのセミファイナリストに選出。これまでに数多くの国際コンクールで上位入賞を果たす彼女が、得意とするメンデルスゾーンを主軸に据えたコンサートを開く。メンデルスゾーンの「幻想曲 スコットランド・ソナタ」から始まり、「無言歌集」の〈失われた幻影〉などを経てシューマンの「3つの幻想小品集」へとつなげ、最後はシューベルトの「さすらい人幻想曲」で幕を閉じる趣向である。

 J.S.バッハをこよなく愛し、以前から楽譜を分析することを好んでいた太田だが、メンデルスゾーンはバッハのイメージと重なると考え、さらに「スコットランド・ソナタ」は長年弾き込んでいる自家薬籠中の作品。今回は、彼女が各々の楽譜から読み取った「幻想」の世界を独自の音絵巻のように繰り広げていく。Hakuju Hallのリクライニング・シートで、ゆっくりその世界に浸りたい。

文:伊熊よし子

(ぶらあぼ2026年9月号より)

第189回 リクライニング・コンサート 太田糸音(ピアノ)
2026.9/11(金)15:00 19:30 Hakuju Hall
問 Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700
https://hakujuhall.jp


伊熊よし子 Yoshiko Ikuma

音楽ジャーナリスト、音楽評論家。東京音楽大学卒業。レコード会社、ピアノ専門誌「ショパン」編集長を経て、フリーに。クラシック音楽をより幅広い人々に聴いてほしいとの考えから、音楽専門誌だけでなく、新聞、一般誌、情報誌、WEBなどにも記事を執筆。インタビューの仕事も多く、多い年で74名のアーティストに話を聞いている。近著は「モーツァルトは生きるちから 藤田真央の世界」(ぶらあぼ×ヤマハ)。
http://yoshikoikuma.jp/