ヴァイグレ&読響が挑む20世紀ドイツの隠れた名作

左:セバスティアン・ヴァイグレ ©読響
右:ダニエル・ミュラー=ショット ©Uwe Arens

 読響7月の定期演奏会は、8年目のシーズンを迎えた常任指揮者セバスティアン・ヴァイグレが登場。戦争で世界が揺れた時代を生き抜いたショスタコーヴィチとR.シュトラウスの作品とともに、マエストロが「もっと演奏されるべき」とする2人のドイツ人作曲家の作品が取り上げられる(いずれも日本初演)。

 まずは、第一次世界大戦で若くして命を落としたルディ・シュテファン。「交響的楽章」(1910)は、2022年に指揮した「管弦楽のための音楽」と並ぶ意欲作。後期ロマン派の延長にありつつ、大胆な和声と世紀転換期の香りをまとう。近年、ヨーロッパで再評価が進むシュテファンは、来年3月に読響と歌劇《最初の人類》(演奏会形式・日本初演)を予定するなど、マエストロがいま最も入れ込む、要注目の作曲家だ。もうひとり旧東独で活躍したジークフリート・マトゥス(1934〜2021)の「怒り狂う女」(1999)は、ギリシャ神話の復讐の女神をモティーフに書かれた小品。オーケストラが咆哮する激烈な音の洪水の奥底に、同じ東独出身のヴァイグレが何を見出すのか興味深い。

 これら2曲に挟まれたショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番は、名手ダニエル・ミュラー=ショットを迎え、諷刺とパロディ、超絶技巧と爆発的な表現で音楽に踏み込む。R.シュトラウスの交響詩「死と変容」は、生から死への変容を描く。ホルンが重要な役割を担う本作は、ベルリン国立歌劇場管の首席ホルン奏者だったヴァイグレにとって大切な、とっておきのレパートリーに違いない。

文:柴辻純子

(ぶらあぼ2026年7月号より)

セバスティアン・ヴァイグレ(指揮) 読売日本交響楽団 第660回 定期演奏会
2026.7/14(火)19:00 サントリーホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390
https://yomikyo.or.jp