
松本紘佳は13歳にしてハンガリーでデビューを飾り、リピンスキ・ヴィエニャフスキ国際コンクール ジュニア部門第2位、全日本学生音楽コンクール全国大会第1位など輝かしい経歴を誇るヴァイオリニストである。ウィーン市立音楽芸術大学及び同大学院を経て、クリーブランド音楽院演奏家課程を修了した今、銀座 王子ホールを舞台に新たなコンサート・シリーズを始動。2026年から27年にかけて計4回にわたり展開されるもので、さまざまな楽曲や編成を通して、松本の成熟し続ける音楽性と挑戦を示す注目のシリーズとなりそうだ。
第1回は、2019年の共演以来、彼女が絶大な信頼を寄せるピアニストである梯剛之を迎えてのデュオ公演。とくに注目したいのはR.シュトラウスのヴァイオリン・ソナタ。若き作曲家の情熱と創意にあふれた作品だ。繊細さと力強さを併せもつ松本の音楽性が、梯の深い洞察に満ちたピアノと響き合い、作品の内側に潜む情感を鮮やかに浮かび上がらせることだろう。
「シューベルティアーデ」と題した第2回は、朝日新聞文化財団からの助成を受けて実施される。梯をはじめ、ポール・ウェストマイヤー(ヴィオラ)、ドミトリー・フェイギン(チェロ)、西澤誠治(コントラバス)といった国内外で活躍する奏者を迎え、ピアノ五重奏曲「鱒」D667など多彩な室内楽作品が並ぶ。両者に高度な技巧とシューベルト作品ならではの歌心が求められる「ヴァイオリンとピアノのための幻想曲 D934」にも期待が膨らむ。
第3回以降も含め、極上の響きが紡がれていくさまを、親密な空間である王子ホールでぜひ味わってほしい。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2026年8月号より)
松本紘佳(ヴァイオリン) 2026-27シーズン リサイタルシリーズ
第1回 松本紘佳 ヴァイオリンリサイタル 2026 ~新たなる楽章への幕開け~
2026.8/29(土)14:00 王子ホール
第2回 シューベルティアーデ
12/11(金)19:00 王子ホール
問 愉音090-6543-5456 ticket.info.222@gmail.com
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長井進之介 Shinnosuke Nagai
国立音楽大学大学院修士課程器楽専攻(伴奏)修了を経て、同大学院博士後期課程音楽学領域単位取得。在学中、カールスルーエ音楽大学に交換留学。アンサンブルを中心にコンサートやレコーディングを行っており、2007年度〈柴田南雄音楽評論賞〉奨励賞受賞(史上最年少)を機に音楽ライターとして活動を開始。現在、群馬大学共同教育学部音楽教育講座非常勤講師、国立音楽大学大学院伴奏助手、インターネットラジオ「OTTAVA」プレゼンターも務める。
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