岐阜発! メディアアート×語り×和洋古楽器で幻想の世界を描き出す『夜叉が池物語』

“越境古楽”がいざなう幻想の音楽空間

 20年ほど前から「越境古楽」という言葉を筆者は意識して使うようになり、近年は比較的よく見かけるようになった。古楽は即興や旋法性といった特色から民族音楽やジャズなどと相性が良く、多彩なジャンル越境の試みが生まれている。

 なかでも注目したいのが、フォルテピアノ/チェンバロ奏者・小川加恵の近年の取り組みだ。音楽の外側へも積極的に領域を広げている。

 その相手は主にふたつ。ひとつは、映像やデジタル技術を駆使したメディアアートである。2022年には、この分野の第一人者である落合陽一、作曲家の藤倉大らと「ヒューマン・コード・アンサンブル」と題したパフォーマンスを展開。デジタルと古楽の出会いを通して、新たな人間性のあり方を探った。

 もうひとつは日本の古典とのコラボ。小川は郷里の岐阜で2021年から「ぎふクラシックフェスティバル」のエグゼクティヴ・プロデューサーを務めているが、昨年は『源氏物語』を題材に、琵琶語りと怪談師が描き出す六畳御息所の物語に古楽アンサンブルが加わるステージを創出。そこにメディア・アートも導入された。

昨年のぎふクラシックフェスティバル『源氏物語』公演より

 今年の第3回はその続編で、泉鏡花の戯曲の題材にもなった地元・岐阜の「夜叉が池伝説」に小川のチェンバロと古楽アンサンブルによるバッハらの協奏曲やフランスのクラヴサン音楽をリンクさせ、満茶乃(語り部)、中沢龍心(琵琶)との共演でステージ化する。メディア・アートが舞台を幻想的な光景に変え、未知なる没入型ステージが出現するはずだ。越境古楽の最新形と、日本の古典が新たな姿で蘇る瞬間を体感したい。
文:矢澤孝樹

上段左より)高橋未希、小林瑞葉、春木英恵
下段左より)高橋麻理子、角谷朋紀

【Information】
第3回ぎふクラシックフェスティバル
和洋古楽器×語り×メディアアートで綴る 『夜叉が池物語』~ 儚くも気高い雨乞いの物語~

2026.8/22(土)15:00 岐阜/サラマンカホール

ぎふ第3回クラシックフェスティバル
出演:小川加恵(チェンバロ) 満茶乃(語り部) 中沢龍心(琵琶) 高橋未希(ヴァイオリン) 小林瑞葉(ヴァイオリン) 春木英恵(ヴィオラ) 髙橋麻理子(チェロ) 角谷朋紀(コントラバス)

構成:
第一幕
 祈り ― 雨を呼ぶ約束
 惜別 ― 父と娘、涙の旅立ち
第二幕
 龍神 ― 水を司る夜叉姫
 悠久 ― 池に宿る祈り

プログラム:
J.S.バッハ:チェンバロ協奏曲 ト短調 BWV1058より
C.P.E.バッハ:チェンバロ協奏曲 イ短調 Wq.1, H.403より
A.ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲《四季》より「夏」 RV315、「秋」RV293
J.デュフリ:クラヴサン曲集第3巻より「三美神」
L.クープラン:クラヴサン曲集より「悲しみ」ほか

問:アーリーミュージックエンタープライズ株式会社 earlymusicenterprise@gmail.com
※サラマンカホール・チケットセンター窓口(TEL058-277-1110)で取り扱いあり
電子チケットの購入はこちらから↓
https://gifuclassicfestival3.peatix.com