井上二葉はフランス近代ピアノ音楽の魅力を伝え続け、1974年には日本人初となるフォーレのピアノ全曲連続演奏会を行った実績を持つ。本作は、ピアノ独奏のスタジオ録音を行ってこなかった彼女の、貴重なライブ録音(2008年・2010年・2023年)を初CD化した待望のアルバムである。朴訥としつつ深い詩情を湛えたダニエル=ルスュールの「心の痛み…」、映像喚起的なフロラン・シュミットの「親密な音楽」、緻密な構築美が際立つデュカの「ラモーの主題による変奏曲・間奏曲と終曲」といった知る人ぞ知るフランス作品が、温かく滋味豊かなタッチで描かれてゆく。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2026年8月号より)
【information】
CD『フランスのピアノ曲 近代の華やぎⅠ 井上二葉の演奏記録』
デュティユー:バッハを讃えて、ジャン・イヴ・ダニエル=ルスュール:心の痛み…、フランス組曲/シュミット:二つの小品 クロマティック・ハープ又はピアノのための、親密な音楽より僧院、葉っぱの唄、航跡、そよ風、七人の乙女の舟歌/デュカ:ラモーの主題による変奏曲・間奏曲と終曲
井上二葉(ピアノ)
収録:2008年4月 浜離宮朝日ホール(ライブ) 他
ナミ・レコード
WWCC-8049 ¥3300(税込)

飯田有抄 Arisa Iida(クラシック音楽ファシリテーター)
音楽専門誌、書籍、楽譜、CD、コンサートプログラム、ウェブマガジン等に執筆、市民講座講師、音楽イベントの司会等に従事する。著書に「ブルクミュラー25の不思議〜なぜこんなにも愛されるのか」「クラシック音楽への招待 子どものための50のとびら」(音楽之友社)等がある。公益財団法人福田靖子賞基金理事。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Macquarie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。



