今年47回目を迎える霧島国際音楽祭は、日本で最も歴史ある夏の音楽祭。鹿児島県の中央部に位置する霧島は自然や温泉、酒食の宝庫ゆえに、音楽とリゾートを同時に楽しめるのが独自の魅力をなしている。内容はコンサートとマスタークラスが両輪。受講生からカルテット・アマービレやピアノの藤田真央等の著名演奏家を多数輩出し、彼らが成長して戻ってくるのも大きな特徴となっている。以下ここでは、“奇跡の音響”を誇る「みやまコンセール」を中心に開催される多数のコンサートの中から、主な公演をご紹介しよう。

まず目を引くのが「ダブル・リサイタル」。宝山ホールの「牛田智大(ピアノ)/セルゲイ・クリーロフ(ヴァイオリン)」と、みやまコンセール〈オープニング・コンサート〉の「中江早希(ソプラノ)山本耕平(テノール)/エリソ・ヴィルサラーゼ(ピアノ)」の2公演が行われ、異なる形態の音楽を一度に堪能できる。なかでも巨匠ヴィルサラーゼの慈愛に満ちた音楽は、霧島ならではの貴重な風物詩だ。

マルチな才人・鈴木優人(指揮、フォルテピアノ)と日本屈指の名手・神尾真由子(ヴァイオリン)の活躍も今年の特徴。二人は「鈴木優人×神尾真由子 with キリシマ・ストリング・アンサンブル」で、Qアマービレを主体とした精鋭たちと共演するほか、名物の「ザビエル教会コンサート」で、鈴木は上野星矢(フルート)との共演、神尾は「バッハ無伴奏ヴァイオリン・リサイタル」を行うので要注目だ。
マスタークラスとの連動を示すのが、「工藤重典フルート・ライブ」と「若き才能たちの饗宴 ショパン・ガラコンサート」。前者では斯界の第一人者と同マスタークラス受講生たちがフルートの魅力を存分に伝え、後者では当音楽祭賞を受賞したピアニスト、堀内龍星、谷昂登、吉見友貴の3人がショパンの名曲を聴かせ、人気奏者の個性を一挙に体感できる得難い機会となる。

恒例の公演では、音楽監督・堤剛以下名奏者が顔を揃える「音楽祭名物!チェロ・オーケストラ」も必聴だが、やはり、各楽団のコンサートマスターや首席奏者、ソリストが居並ぶ驚きの豪華集団「キリシマ祝祭管弦楽団」の公演は外せない。今年は、第55回ブザンソン指揮者コンクールで優勝し、現在ルーアン歌劇場の音楽監督を務めるベン・グラスバーグの指揮で、珍しいメンデルスゾーンの姉ファニーの序曲や、チャイコフスキーの交響曲第4番が披露されるほか、浜松国際ピアノコンクールの優勝で名を上げた鈴木愛美がベートーヴェンの協奏曲第3番のソロを弾くので、ぜひ足を運びたい。
そして今年の精華を体験できるのが、「霧島国際音楽祭賞 受賞者ガラ/Legends of Kirishima 2026 名手たちが贈るアンサンブル」と「ファイナル・オーケストラ・コンサート」。前者では、各マスタークラスの音楽祭賞受賞者の才能と、参加演奏家や講師陣による室内楽コンサートを続けて味わえるし、後者では、祝祭管のメンバーにゲストや受講生等が加わった辣腕オーケストラの演奏で、ブラームスやシベリウスの名作を楽しめる。
このほか、各地で様々な公演が開催されるので、地元・遠方のファンを問わず多彩な音楽を満喫したい。
取材・文:柴田克彦
(ぶらあぼ2026年6月号より)
7/24(金)~8/9(日) 霧島国際音楽ホール(みやまコンセール)、宝山ホール、ザビエル教会、霧島神宮 他
問 霧島国際音楽ホール(みやまコンセール) 0995-78-8000
ジェスク音楽文化振興会03-3499-4530
https://kirishima-imf.jp
※音楽祭の詳細は上記ウェブサイトにてご確認ください。

柴田克彦 Katsuhiko Shibata
福岡県生まれ。音楽マネージメント勤務を経て、フリーの音楽ライター・評論家&編集者となる。雑誌、コンサート・プログラム、Web、宣伝媒体、CDブックレットへの、取材・紹介記事や曲目解説等の寄稿、プログラム等の編集業務を行うほか、講演や講座も受け持つなど、幅広く活動中。著書に『山本直純と小澤征爾』(朝日新書)、 『1曲1分でわかる! 吹奏楽編曲されているクラシック名曲集』(音楽之友社)。
