京都市交響楽団の2027年度定期演奏会ラインナップが発表――常任指揮者・沖澤のどかは4プログラムに出演!

 京都市交響楽団は7月9日、2027年度定期演奏会のラインナップを発表。同日、京都コンサートホールで記者会見が行われ、常任指揮者を務める沖澤のどか、楽団長の松井孝治(京都市長)らが登壇した。

左より:松井孝治、沖澤のどか、髙尾浩一(チーフプロデューサー) ©京都市交響楽団

 今年、創立70周年を迎えた京響。沖澤は楽団の顔として、記念事業の「プロコフィエフの陣~交響曲全曲演奏会」など多くの公演で腕をふるっているが、来シーズンは4つの定期演奏会でタクトをとる。シーズンオープニングとなる4月・第721回は、近年沖澤が力を入れる女性作曲家からリリ・ブーランジェ「春の朝に」で幕を開ける。その後は、ドビュッシーの交響組曲「春」、ギヨーム・コネソン「3つの季節」、そしてストラヴィンスキーの「春の祭典」がならぶという、“春”尽くしのプログラムだ。日本初演となるコネソンは、1970年生まれのフランスの作曲家で、クラシックの伝統にテクノやポップスの要素を取り入れた、推進力のあるリズムと華やかな管弦楽が特徴だ。

沖澤「調性があり、非常に色彩感豊かな作品を書く方です。ドビュッシーやメシアン、ストラヴィンスキーなど、いろんな作曲家のいいところを継いでいる作曲家だと思います。私が常任指揮者に就任してすぐの東京公演で、『コスミック・トリロジー』という作品を取り上げたというご縁もあり、この『3つの季節』も日本に紹介したいと思って決めました。『春の祭典』と全く同じ楽器編成で、この曲と組み合わせて演奏されることを想定して書かれた作品です」

 9月・第726回では、そのコネソンの新曲(京響、トロント響、リエージュ王立フィルによる共同委嘱作品)の世界初演が目を引く。

沖澤「世界初演を関西のオーケストラがすることはほとんどないと思いますが、『京響が、東京のオーケストラよりも先に面白いことをやっている』ということで生まれるつながりもあるかなと。新曲の前後に置かれたドビュッシー『夜想曲』とホルスト『惑星』では、びわ湖ホール声楽アンサンブルが女声合唱として加わります。先日、『びわ湖の春 音楽祭』に初めて出演したのですが、そこで声楽アンサンブルの素晴らしさに本当に驚かされまして! これは京響のいいところが炸裂するんじゃないかと、今から楽しみです」

©京都市交響楽団

 12月に行われる第728回では、同年没後200年を迎えるベートーヴェンの晩年の大作「ミサ・ソレムニス」を。独唱は中江早希(ソプラノ)、ニルス・ヴァンダラー(カウンターテナー)、吉田志門(テノール)、平野和(バスバリトン)という充実の陣容だ。

沖澤「日本では、『第九』を年末にどこのオーケストラでも取り上げる一方で、時間の長さなどから『ミサ・ソレムニス』が演奏される機会はほとんどありません。ですが、ベートーヴェン自身が一番大事にしていた作品だと思うのです。この演奏会で『ミサ・ソレムニス』に真剣に向き合うことで、その後の京響の『第九』への理解度、ひいてはベートーヴェンのサウンドが変わるんじゃないかと、そういう期待も込めています」

 そして、シーズンを締めくくる2028年3月の第731回では、伊福部昭の管絃楽のための「日本組曲」に続いて、同郷の盟友・隠岐彩夏(ソプラノ)とともにマーラーの交響曲第4番に臨む。

沖澤「マーラーに関しては、管弦楽付きの声楽曲を演奏したことはあったのですが、交響曲に取り組むのは実はこれが初めてです。隠岐さんは、今年の3月定期の《コジ・ファン・トゥッテ》で見事なフィオルディリージ役を披露してくださって、楽団員の皆さんからも何度も『素晴らしかった!』という声があがりました。そんな彼女との演奏会の前半には、二人とも青森出身ということで、〈佞武多(ねぶた)〉という楽章のある『日本組曲』を選びました。
 このプログラムは、京都でのコンサートの前に青森と八戸でも披露します。青森は、前シーズンの9月に行った日本ツアーで最後に訪れたのですが、その際はアンコールにねぶた囃子を演奏して、京響の事務局の皆さんが出てきて踊るというセンセーショナルな演奏会になりまして! 大いに盛り上がり、アンケートも驚くほどの数が集まって、その熱量に感動してしまいました。そんな青森に、また京響の皆さんと行けることを幸せに思います」


 首席客演指揮者のヤン・ヴィレム・デ・フリーントは2公演に登場する。5月の第722回では、ベートーヴェン唯一のオペラである《フィデリオ》を演奏会形式で上演。市川敏雅(ドン・フェルナンド)、青山貴(ドン・ピツァロ)、工藤和真(フロレスタン)、木下美穂子(レオノーレ)ら各地で活躍する歌い手が集結する。年明けの28年1月、第729回ではシューベルト没後200年を記念し、2つの“未完成”を取り上げる。シューベルトにとって第10番となるはずだった交響曲 ニ長調 D936Aのスケッチに基づくベリオの「レンダリング」に、ブルックナーが死の直前まで筆をとり続けた交響曲第9番が組み合わせられるという、デ・フリーントのセンスが光る選曲だ。

ヤン・ヴィレム・デ・フリーント ©Marco Borggreve

 客演陣の公演では、ウェイン・マーシャルによるガーシュウィンのピアノ協奏曲 ヘ調(7月)や、ジュリアン・ラクリンのピアソラ(デシャトニコフ編)「ブエノスアイレスの四季」(28年2月)など、弾き振りも一つの注目ポイントとなりそうだ。また、ケレム・ハサン×亀井聖矢(ピアノ)によるプロコフィエフの協奏曲第3番(6月)や、デイヴィッド・レイランド×上野通明(チェロ)のデュティユー「遥かなる遠い国へ」(8月)、沼尻竜典×ユン・ゼン(ホルン/ベルリン・フィル首席)によるグリエールの協奏曲(10月)など、充実を深める若手奏者がソリストとして登場するのも見逃せない。


 本シーズンでは、前述の2028年3月公演を含め、定期演奏会のプログラムの過半数が京都以外の都市でも披露される予定だという。大きな節目を超え、さらなる一歩として、京都から日本各地に京響サウンドを広げる京都市交響楽団の取り組みに注目したい。

©京都市交響楽団

文:編集部
写真提供:京都市交響楽団

京都市交響楽団
https://www.kyoto-symphony.jp

プロコフィエフの陣~交響曲全曲演奏会「弐」
交響曲第5番がアーカイブ配信!
アーカイブ配信期間:7/18(土)21:00~7/21(火)21:00
配信チケット料金:777円 ※アーカイブ配信のみ。