
ロシア出身のエヴァ・ゲヴォルギヤンは、2021年に開催されたショパン国際ピアノコンクールの最年少ファイナリスト。2026年前半もヨーロッパ・ツアーをはじめ、アメリカやアジア、そしてニュージーランドでも演奏を行う。4月に22歳を迎え、現在もモスクワ音楽院に在籍している。
「いっぱい宿題がありますし、試験の準備もしなければいけません。確かに、ハードワークで大変な日々ですけれど、私はそれが好きなのです。コンサートで初めて訪れる国々の文化に触れ、人々と出会い、音楽への愛を分かち合う…そのようなことも、今だからこそできるのです」
日本にも頻繁に訪れているゲヴォルギヤンは、今年も8月に浜離宮朝日ホールでリサイタルを開催する。“ファンタジー”を意識したプログラムだ。
「毎回、新しい作品を準備していくのですが、今回のプログラムは私にとって繋がりを強く感じる曲で、そのなかでもシリアスで奥深い作品でまとめました。モーツァルト『幻想曲 ハ短調』に始まり、フランク『前奏曲、コラールとフーガ』、ラフマニノフの練習曲『音の絵』(抜粋)、ショパン『幻想ポロネーズ』、最後にリスト『巡礼の年 第2年「イタリア」』から〈ダンテを読んで〉をとりあげ、哲学的な作品でプログラムを締めくくります」
プログラムのなかで、フランクの作品が目を引く。
「この曲を弾き進めていくと、教会で神と対話しているかのような錯覚に陥るのです」
ショパンとラフマニノフは、前回(2025年)の公演でも取り上げた作曲家だ。
「実際にできあがったプログラムを見ると、必ずふたりの作品が入っているのです。彼らは異郷の地に長く住み、故郷を恋しく思う気持ちを抱いていました。私も海外で演奏する機会が多く、ふたりに共感できます」
普段、音楽のインスピレーションはどこから得ているのだろうか?
「最も大切なのは、偉大な巨匠たちの演奏を聴くことです。例えば、ショパンについては、ホロヴィッツやアルゲリッチなど素晴らしい先輩たちの演奏を聴くことによって、多くの解釈に触れ、さまざまなインスピレーションを得ています。自分の音楽言語を探すうえでも、その作曲家の作品を多く学び、経験を積むことで作曲家の声にも自分の声にも近づくことができ、自身の解釈ができるのだと思います」
最後に、ゲヴォルギヤンから読者へのメッセージ。
「作曲家の音楽の背景にある言葉も感じ取っていただけたら嬉しいですね。コンサートは、演奏者、作曲家、聴衆の三者が結びついて初めて成立します。みなさまに、ぜひそのひとつになっていただけたらと思います」
取材・文:道下京子
エヴァ・ゲヴォルギヤン ピアノ・リサイタル
2026.8/23(日)14:00 浜離宮朝日ホール
問:朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990
https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/
