第17回ヘンリク・ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクールが2026年10月に開催

都内で記者発表開催

 2026年10月8日~25日にポーランド西部の都市ポズナンで開催される第17回ヘンリク・ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクールの記者発表が、11月19日、東京目黒区の駐日ポーランド共和国大使館で行われ、コンクールのディレクターを務めるカロリーナ・カジミェチャクら関係者が出席した。

Henryk Wieniawski International Violin Competition
左より)ウルシュラ・オスミツカ(ポーランド広報文化センター所長)、マルタ・トゥルナウ(PWM代表)、
アガタ・シムチェフスカ(ヴァイオリニスト)、カロリーナ・カジミェチャク(コンクール・ディレクター)

 同コンクールは、1935年に創設された、世界で最も長い歴史をもつヴァイオリンコンクール。ショパン国際ピアノコンクールとともに、ジュネーヴに本部を置く世界国際音楽コンクール連盟(WFIMC)の創設時からのメンバーでもある。歴代の上位入賞者には、古くはダヴィッド・オイストラフ、ワンダ・ウィウコミルスカなどの往年のヴァイオリニスト、日本勢では漆原啓子(第1位)や大谷玲子(1位なしの第2位)、近年では小林美樹、岡本誠司(いずれも第2位)らがいる。2022年の前回大会で前田妃奈が優勝したのも記憶に新しい。

Hina Maeda
第16回大会を制した前田妃奈 ©International Henryk Wieniawski Violin Competition

 2026年のコンクールの参加対象は、1996年〜2008年生まれのヴァイオリニスト。入賞者には、賞金だけでなく、副賞としてさまざまな演奏の機会が与えられ、前回大会では100以上の公演が五大陸21ヵ国で行われた。パリのサル・ガヴォー、台北のナショナル・コンサートホール、ソウル・アーツ・センター、ブダペストのリスト音楽院といった著名なホールでも入賞者コンサートが開催されたという。
 「コンクールの雰囲気が素晴らしく、出場者や関係者同士の交流の場となっています。入賞者たちとその後も長い交流を続けており、さまざまな事業を実現しています」とカジミェチャク。第17回の審査員長は、第10回大会(1991)の優勝者、バルトゥオメイ・ニジョウが務める。

第13回優勝者アガタ・シムチェフスカ(ヴィエニャフスキ記念音楽
協会会長)による演奏が披露された

 コンクールへのエントリーは、2026年1月9日まで。この日までに提出された映像による審査があり、通過者は、2026年4月18日から5月24日までの間に世界各地で行われる予備予選に臨む。その中から10月の本大会への出場者が決定する。
 本大会は4つのラウンドで構成される。前回のあと課題曲の見直しが行われたというが、その意図についてカジミェチャクは「ヴィエニャフスキはもちろんですが、それ以外のポーランド人作曲家の作品をプロモーションしたいという意図と同時に、参加者の自由も尊重した」と説明した。1次予選ではヴィエニャフスキ作品の演奏が求められ、2次予選の課題曲にも、バツェヴィチ、ルトスワフスキ、ペンデレツキ、シマノフスキなど、ポーランドのさまざまな作曲家の作品が含まれている。さらに、オーケストラとの共演となる3次予選は、グレツキ、パヌフニク、ヴァスクス、ヴァインベルクの協奏曲のいずれかを演奏。多くのヴァイオリニストにとって新たなレパートリーを開拓する機会にもなりそうだ。コンクールは、YouTubeやTikTokなどさまざまなメディアを通じて配信される。

第17回ヘンリク・ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクール
2026.10/8~10/25 ポズナン/アダム・ミツキェヴィチ大学講堂

1次予選 10/9(金)〜10/12(月)
2次予選 10/13(火)〜10/15(木)
3次予選 10/17(土)〜10/18(日)
本選A 10/20(火)〜10/21(水)
本選B 10/22(木)
入賞者ガラ・コンサート 10/23(金)〜10/25(日)(25日はワルシャワ・フィルハーモニー)
https://www.wieniawski.com/news/aktualnosci-konkursy-en/17th-international-henryk-wieniawski-violin-competition-8-25-october-2026.html

 この日の記者発表には、コンクールのパートナーでもあるポーランド音楽出版社(PWM Edition代表のマルタ・トゥルナウ氏も登壇した。1945年にクラクフで創立された同社は、ショパン・ナショナル・エディションやいわゆるパデレフスキ版の出版で知られるとともに、ヴィエニャフスキ作品のクリティカル・エディションなどの出版も順次進めており、ポーランドの音楽文化のアンバサダー的役割を果たしている。マーケットとして重視している日本での活動として、ヤクプ・プハルスキ著『ショパン ―その足跡をたどる第一歩―』日本語版(関口時正 訳)が今年4月に提携関係にある全音楽譜出版社から刊行されており、11月26日にカワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」にて、著者が来日しての刊行記念トークイベントも予定されている。

取材・文:編集部