リッカルド・ムーティによる「イタリア・オペラ・アカデミー in 東京」のリハーサルが進行中！

　世界的指揮者、リッカルド・ムーティによる「イタリア・オペラ・アカデミー in 東京」が9月2日に開幕！ 約2週間にわたり、若い音楽家たちにオペラ上演に至るまでのすべてを伝える渾身のプロジェクト。その成果発表となる本番（演奏会形式）に向けたリハーサルは、一般の方でも聴講できることができます。
　第5回となる今年取り上げられるのは、ヴェルディ《シモン・ボッカネグラ》。ムーティの指導のもと、上演に向け熱く燃え上がるアカデミーの様子を、少しだけお届けします。

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　初日はマエストロによる作品解説から。開始時刻を迎え、観客が固唾を呑んで待ち構える中、ムーティは颯爽と登場！ まずは、客席最前列に待機する日本人歌手とともに、前日の二次選考で決定した5人の指揮受講生が紹介されました。

　《シモン・ボッカネグラ》という作品のエッセンスについて一通り話した後、オーケストラによるプロローグ冒頭を指揮し始めたムーティ。初顔合わせとは思えない演奏を行なった東京春祭オーケストラを褒めたたえつつ、本作において根幹となる要素の一つ、「海」のイメージを持つよう伝えます。「コントラバスの音は海の底のように……」。その言葉を受け、音楽はより情景豊かに。

　そして歌い手も舞台へと上がらせ、役柄や場面について説明を（「二言で」！）促しながら要所をピックアップしていきます。楽譜に忠実に、記されていない音量の変化やテンポの揺れには厳しく目を光らせる一方、ムーティおなじみのジョークも炸裂！

（木管楽器を数小節ピックアップした後）「このように、ヴェルディは一つの音で雰囲気を作り出すのです。これがワーグナーだったら30分はかかるのに……… 誤解しないでくださいね、もちろん彼のことを尊敬していないわけではありませんよ！（笑）」

　白眉となる第3幕・シモンとフィエスコの二重唱まで、約2時間にわたる作品解説はあっという間に終了。これからのリハーサルの充実を予感させる一夜となりました。

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　翌日からはいよいよリハーサルがスタート！ 前半の3日間はオーケストラ、ソリスト／合唱＆ピアノと分かれて進行します。2日目に行われたオーケストラリハーサルでは、演奏上の難所となる場面を受講生全員が一通り指揮するように細かく取り上げながら、オーケストラや歌手とどうコミュニケーションをとるかがレクチャーされました。求める音楽を伝えるにはクリアな指揮が必要、そのためには…… 何度も伝えられたのは、「シンプル」であること。

（オケ全体で強音を鳴らす場面、両腕に力を込め震わせた受講生に）「そのキングコングのような動き！ オーケストラが可哀想です………このジェスチャー1つで伝わります」

　アカデミー開幕の挨拶で「私は特別な秘密を知っているわけではないのです」と断りを入れていたマエストロ。奇をてらわずシンプルに、実直に――それこそがムーティの魔法の根源なのかもしれません。

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　9月7日からはオーケストラ、ソリスト、合唱全員でのリハーサルが行われ、《シモン》の世界観を一丸となって磨き上げていきます。若い音楽家による公演は11日、そしてムーティ自ら指揮する公演は13日＆15日に上演。ライブ・ストリーミング配信によるネット席も販売中、お見逃しなく！

取材・文：編集部
写真提供：イタリア・オペラ・アカデミー in 東京

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