ウィーンが誇る名ピアニスト シュテファン・ヴラダー&神奈川フィルが誘う極上のモーツァルト体験

本場直伝の名曲に浸る稀有の喜び

シュテファン・ヴラダー
©www.lukasbeck.com/Wiener Konzerthaus

 “ウィーンのモーツァルト”にたっぷりと浸れるのが、指揮とピアノでシュテファン・ヴラダーが出演する7月の神奈川フィルハーモニー管弦楽団の公演だ。1965年ウィーン生まれのヴラダーは、幼くしてウィーン国立音楽大学でピアノを学び、13歳の時モーツァルトの「戴冠式」でデビュー。85年ウィーンのベートーヴェン国際ピアノコンクールで優勝し、94年にはウィーン・モーツァルト協会からモーツァルト・メダルを受賞。99年にはウィーン国立音大の教授となり、2008年から18年までウィーン室内管弦楽団の首席指揮者および芸術監督を務めて多大な賞賛を博した。かように彼は“ウィーン&モーツァルト”の申し子なのだ。

 ピアニストとしては、アバド、マリナー、ラトル等の大指揮者や、ウィーン・フィル、シカゴ響等の一流楽団と共演。指揮者としても、ウィーン響、バンベルク響ほか多くの楽団に客演し、弾き振りも多数行う。さらに2019年からは(神奈川フィルの音楽監督・沼尻竜典の後任として)リューベック歌劇場の音楽監督を務めるなど、全てに本格派の経歴を誇っている。

 プログラムには極め付きのモーツァルト名曲が揃う。最初の「パリ」は天才の交響曲中最大編成の華やかな佳曲で、最後の「ジュピター」はご存じ堂々たる傑作交響曲。両曲では沼尻のもとで上昇顕著な神奈川フィルのレスポンスも楽しみだ。そして陰影に富んだ内容で名作の誉高いピアノ協奏曲第23番では、現役最上の弾き振りを満喫できる。本公演は、甘美で風雅さと温かみを湛えた本場直伝のモーツァルト音楽を堪能する、今や貴重な機会となる。

文:柴田克彦

神奈川フィルハーモニー管弦楽団
For Future 巡回公演シリーズ大和公演

2025.7/18(金)19:00 大和市文化創造拠点シリウス やまと芸術文化ホール

みなとみらいシリーズ定期演奏会 第406回
2025.7/19(土)14:00 横浜みなとみらいホール

指揮・ピアノ:シュテファン・ヴラダー

モーツァルト:
 交響曲第31番 ニ長調 K.297(300a)「パリ」
 ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488
 交響曲第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」

問:神奈川フィルハーモニー管弦楽団045-226-5045
https://www.kanaphil.or.jp