まるで“オルガンの万国博覧会”⁉「サントリーホール オルガン・フェスティバル 2025」

名曲、ミュージカル、ジャズ・ライブ、トークイベント……オルガンの奥深い世界を楽しく知ろう!

 オルガンの魅力をたっぷりと味わえるのが、8月11日に開催される「サントリーホール オルガン・フェスティバル 2025」。同ホールがこれまで開催してきた「オルガンZANMAI!」がさらにパワーアップして、夏のオルガンの祭典に生まれ変わる。初心者から愛好家まで、幅広い人々が楽しめる5公演が用意された。

まさにサントリーホールの「顔」! 大ホールのオルガン ©Suntory Hall
オルガン×金管×打楽器×合唱! 圧倒的なサウンドに身を委ねて……

 幕開けは12時開演の公演1「オルガンで奏でる名曲たち~英国音楽作品集」。オルガンと金管・打楽器アンサンブル、さらに合唱も加わるゴージャスな公演だ。イギリス国歌「国王陛下万歳」やアイルランド民謡「ロンドンデリーの歌」といったおなじみの名曲や、ウィル・トッドの清澄な合唱曲「コール・オブ・ウィスダム」、合唱音楽で名高いジョン・ラターによる壮麗な「グローリア 混声合唱、金管、打楽器、オルガンのための」他が演奏される。ラターの「グローリア」は迫力満点。ライブで聴ける機会は貴重だ。オルガンの勝山雅世、打楽器の服部恵新国立劇場合唱団、指揮・ナビゲーターの佐々木新平の豪華出演者陣がそろう。

左:勝山雅世 右:佐々木新平 ©Herbie Yamaguchi

 14時開演の公演2は、ブルーローズ(小ホール)で開かれるトークイベント「オルガン・ビルダーの世界」。国内に十数人しかいないといわれる技術者、オルガン・ビルダーの都留裕幸が楽器の仕組みやその仕事について語る。この楽器への興味がぐっと増しそうだ。

都留裕幸
ノートルダムの名匠が伝えるフレンチ・オルガンの息吹

 15時30分開演の公演3 「ヴァンサン・デュボワ オルガン・リサイタル 名工カヴァイエ=コルがもたらしたフランスオルガン作品の軌跡」では、ノートルダム大聖堂のオルガニスト、ヴァンサン・デュボワが登場し、シンフォニック・オルガンの名曲を演奏する。ヴィドールやフランク、ヴィエルヌらフランスの作曲家たちのオリジナル作品に加えて、サン=サーンスの「死の舞踏」やラヴェルの「クープランの墓」抜粋の編曲版も。カラフルで迫力のあるサウンドを堪能したい。

ヴァンサン・デュボワ
オルガンの響きと名優の朗読がひらく、大ヒットミュージカルの新たな世界!

 18時30分開演の公演4は、オルガン・ステージリーディング『モーツァルト!』。石川゠マンジョル優歌のオルガンと、人気舞台俳優・城田優木下晴香の朗読により、ミュージカル『モーツァルト!』の名曲がとりあげられる。歌ではなく、オルガンと朗読による独自のスタイルの公演だ。

左より:石川゠マンジョル優歌 ©Kosuke Atsumi、城田優、木下晴香

 20時開演の公演5は「松井秀太郎カルテット~ハモンド・オルガンの魅力-ポジティフオルガンの新境地」。ブルーローズ(小ホール)で、トランペットの松井秀太郎が、ジャズで重用されるハモンド・オルガンや、ポジティフオルガン(小型オルガン)を奏する壷阪健登らとカルテットを組んだジャズ・ライブだ。

左:松井秀太郎 ©Tadayuki Minamoto 右:壷阪健登 ©Sakiko Nomura
左:浅利史花 右:きたいくにと ©Leslie Kee

 ここでしか聴けない多彩な5公演がそろった。新鮮なオルガン体験が待っている。

文:飯尾洋一


サントリーホール オルガン・フェスティバル 2025
広がる―深まる
オルガンの響き

2025.8/11(月・祝) サントリーホール 大ホール&ブルーローズ(小ホール)

公演1 オルガンで奏でる名曲たち~英国音楽作品集

12:00開演 大ホール

♪出演
勝山雅世(オルガン)
佐々木新平(指揮・ナビゲーター)
服部恵(打楽器)
オルガン・フェスティバル スペシャル・ブラス・アンサンブル(金管・打楽器)
新国立劇場合唱団

♪曲目
イギリス国歌(勝山雅世編):「国王陛下万歳」
コープ/ルーファー(勝山雅世編):「ハイランド・カテドラル」
坂本日菜:「終わらない夜」(2024年度愛知県芸術劇場委嘱作品)より
ウィーラン(勝山雅世編):『リバーダンス』より「ファイヤーダンス」
アイルランド民謡(近藤岳編):「ロンドンデリーの歌」
トッド:「コール・オブ・ウィスダム」
ラター:「グローリア」混声合唱、金管、打楽器、オルガンのための

公演2 トークイベント「オルガン・ビルダーの世界」

14:00開始 ブルーローズ(小ホール)

♪出演
都留裕幸(オルガン・ビルダー)

公演3 ヴァンサン・デュボワ オルガン・リサイタル
名工カヴァイエ=コルがもたらしたフランスオルガン作品の軌跡

15:30開演 大ホール

♪出演
ヴァンサン・デュボワ(オルガン)

♪曲目
ヴィドール:オルガン交響曲第5番 ヘ短調 op.42-1より第1楽章
フランク:「3つの小品」より第2曲〈カンタービレ〉
ヴィエルヌ:オルガン交響曲第6番 ロ短調 op.59より第5楽章
サン=サーンス(ルメア編):「死の舞踏」op.40
ラヴェル(デュボワ編):「クープランの墓」より〈リゴードン〉〈メヌエット〉〈トッカータ〉
デュプレ:「エヴォカシオン」op.37より第3楽章
ヴァンサン・デュボワ:即興演奏「サルヴェ・レジーナ」

公演4 オルガン・ステージリーディング『モーツァルト!』

18:30開演 大ホール

♪出演
石川゠マンジョル優歌(オルガン)、城田優、木下晴香(以上朗読)

♪曲目
リーヴァイ(坂本日菜編):ミュージカル『モーツァルト!』より
 「僕こそ音楽(ミュージック)」「ダンスはやめられない」「星から降る金」他

公演5 松井秀太郎カルテット~ハモンド・オルガンの魅力-ポジティフオルガンの新境地

20:00開演 ブルーローズ(小ホール)

♪出演
松井秀太郎カルテット
 松井秀太郎(トランペット)、壷阪健登(ハモンド・オルガン/ポジティフオルガン)、浅利史花(ギター)、きたいくにと(ドラム)

♪曲目
ピーターソン:「自由への賛歌」
松井秀太郎:サントリーウイスキー『響』をモチーフにした新作(世界初演)、「Blue Rose」

問:サントリーホールチケットセンター0570-55-0017 suntoryhall.pia.jp